先日読んだ『春の海』に続き、三島由紀夫著
『奔馬』を読んだ。
昭和初期、『春の海』の主人公・松枝清顕の生まれ変わりが、松枝家の書生だった飯沼の息子・勲であるという設定。勲は、昭和の“神風連”たろうと、思想を同じくする若者を集め財界の要人を暗殺しようとするが、事前に計画が漏れ捕られる。清顕の親友であり裁判官となっていた本多は、若かりし日に救えなかった清顕の代わりに勲を救おうと、裁判官を辞し、その弁護にあたる。有罪とされるも刑は免れた勲が自宅に帰ると、自分が暗殺しようとしていた財界人から支援を受け自分の生活があったことを父から聞かされる。勲は単独で財界の黒幕を暗殺、その後自害する。
『奔馬』というタイトルどおり、血気盛んな若者・勲が主人公で、右翼系の思想も色濃く、雅な世界での恋愛ものであった『春の雪』とは、作風がぜんぜん違ったけれど、清顕は“感情”に純粋だったが、勲は“信念とそれに基づく行動”に純粋であるという点では共通していた。
また、徹底して、
若さは美しいものとして、老いは醜いものとして描かれているところが、とても三島作品らしいと思った。
この次は、『暁の寺』。
勲が女に生まれ変わっている夢を見ているとおり、今度の生まれ変わりは女性、しかもタイのお姫様とのこと。さすがの三島もタイのお姫様にはなれなかったのか(?)、主人公は老いた本多になっているようで、正直あんまり興味がわかない。
どうせだったら四部作読破したい、という気持ちもあるんだけれど。んー、どうしよう。
【今年の読書目標達成まで---あと36タイトル】