カテゴリ:国際情勢について
ウクライナの状況について。
世界中でウクライナの状況について注目が集まる中で、ここまで大々的に取り上げられ、日本を含む各国でウクライナの状況について関心が向けられていることに対してありがたいと思う一方で、日本での報道はあまりにも表面的で実体を捉えられていないことはとても残念に思います。一部の日本メディアに呼ばれた「専門家」は堂々とロシアのプロパガンダを広めていることに対しては怒りさえも覚えます。 ウクライナでの戦争が長引くにつれて、SNS上では政治的な投稿はあえてしないようにしてきましたが、25年以上過ごした第二の母国でもある日本でウクライナについて誤った情報が流れているのを見ると、黙って見ているのにも限界を感じます。 実際にウクライナで今何が起こっているか、ロシアによる侵略は、歴史を知らないと分からない部分も多いですが、在日ウクライナ人を呼んで、どれだけウクライナの家族のことを心配しているか、ウクライナでの日本人がどう過ごしているのか、さらには、子どもが銃を持っている動画を流して不安を煽るような報道には正直失望しています。モーニングショーなどはもってのほか、「専門家」を呼んで解説するような番組でも、問題の本質を一切捉えられていないというのが現状です。 長くなりますが、ひとりでも多くの人に実際の状況がどういうものなのかを理解してもらいたく、考えをまとめてみることにしました。 まず1点目。そして最も重要な点。 報道を見ていると「ロシアは本当にウクライナを侵略するのか」というようなヘッドラインが目立ちます。 ウクライナとロシアとの戦争はすでに8年前に始まっています。 繰り返します。 ロシアはすでにウクライナを8年前に侵略しています。 2014年にクリミアから始まり、ウクライナ東南部のドネツク、ルハンシクでは何万人もの人が戦争で亡くなり、帰る場所をなくしています。 ウクライナの東南地方にいるのは「親露派勢力」ではありません。「ロシア軍」です。 8年もの間、戦争を長引かせるためには、相当な資金も軍事力も必要です。普通に考えると一部の地方のウクライナ人の親露派達だけで構成する事は物理的にも資金的にも無理です。現在占領されている地域は、ロシア政府の介入無しでは成り立たちません。 2点目。 報道では「クリミアや東の地方では元々、ロシア語を話す人が多く、ロシアに親近感を感じる人が多い」という情報をよく目にするかと思います。そして、東はロシア派、西はEU派などの「解説」を通してウクライナを東と西で分けたがる専門家が多いですが、ウクライナは一つの国です。 このような解説は日本全体を関西と関東の二つの軸で分けるのと一緒です。考え方やカルチャーなど違う要素がありつつも一つの国です。実際、ウクライナにはロシア語を話す人も多いですが、ほとんどがウクライナ人としての認識をもち、ロシアの一部なんかになることは望んでいません。 ではそもそもなぜウクライナの一部の地方では「ロシア系ウクライナ人」が多いのかを理解する必要もあります。 日本ではあまり知られていませんが、第2次世界大戦前にスターリンは「ホロドモール」というジェノサイドを実行し、ウクライナ人が独立できないように、計画的に餓死させています。私の祖父母やそれ以外の人の体験談を聞くとそれはあまりにも過酷で、スターリン政権はウクライナ人から生きていくための最低限の食物も奪い取り、さらにウクライナの国境から逃げようとする人は射殺され、1,000万人もの人を命を奪いました。 (参考:2020年には「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」という事実の基づいた映画も公開されています) 当時、ウクライナの独立意識が高かった東や南の地方では、ホロドモールの影響は特に大きく、東や南の地方に元々住んでいたウクライナ人はスターリンによって大量虐殺され、その代わりにロシア人の住民が送り込まれています。 クリミアも同様です。報道では「クリミアは元々ロシア系住民が多い」と言われることが多いですが、これは事実ではありません。クリミアは元々「クリミアタタール人」が住んでいましたが、ほとんどがソビエト政権によって、シベリアに強制移住させられ、多くの人の命が奪われています。追放したクリミアタタール人を入れ替えるかのように、ロシア人が送り込まれたことから、今ではロシア系住民が多いのです。 つまり、ロシア系住民が多いのは、ウクライナ人やクリミアタタール人がロシア人によって大量虐殺されたことが背景にあります。 ウクライナがソ連から独立した後、一部のクリミアタタール人は帰還することができましたが、それでも人口の1割程度にとどまっています。そして今でも、クリミアがロシアに占領された後、クリミアタタール人は命に危険を感じながら生活をしています。 3点目。 「ウクライナではロシア語が禁止され、ロシア系住民が反発している」なども残念ながら報道されています。 この事実は一切ありません。繰り返しますが、これはうそです。 ロシア語ができない身として、実際の経験から話をすると、ウクライナに帰ると必ず、どこかではロシア語で話かけられます。その一例として、数年前ウクライナの空港でチェックインしようとした時に、ロシア語で話しかけられたので、ウクライナ語で話してもらうようにお願いしたら、拒否。 想像してみてください。 区役所に行ったときに中国語で話しかけられ、どんなにお願いしても日本語で話してもらえない、という状況と一緒です。 ネタではなく、これは実際にウクライナで起きています。ウクライナは公共施設ではウクライナ語での対応を必須とするように数年前に法改正を行なっていますが、日本のように、自身の言語をもつ独立国家として当たり前のことをしただけです。 ロシア語がウクライナで禁止されている事実はなく、地域によってはむしろウクライナ語を話す住民が肩身せまく暮らしています。 4点目。 「ウクライナはNATOの介入をやめるべきだ。そうすれば状況が収まる」とも解説でよく言われています。 ウクライナはロシアの言う通りにすべき、アメリカの言う通りにすべきと言う議論をする前に強調したいのは「ウクライナが独立国家」であることです。自分の国を守るために何をすべきで、自分の国民が安心して生活できるように何をすべきかの決定権はウクライナにあります。ウクライナは単純に「自分」の国民が「自分の国の中で」平和に暮らしていけることを実現しようとしているだけです。平和以外何も望んでいません。 日本には日本のことを決める権利はありますよね。アメリカにもその権利があって、ロシアにもその権利があるのに、なぜウクライナはその決定権はないのでしょうか?なぜロシアの言いなりにならないといけないのでしょうか? あまりにも理不尽ではないでしょうか? ウクライナは遠い国の出来事で自分には関係ないと思うかもしれません。 1点覚えていただきたいのは、2014年まではウクライナは日本と同じく、一切戦争をしてこなかった国です。 戦争をしてこなかっただけではなく、1994年にはブダベスト覚書に署名しています。ロシアを含む協定署名国が、ウクライナの既存の国境を尊重することを条件に自ら核兵器を手放しています。今後も戦争をすることがないという認識であったために、平和に慣れすぎてロシアからクリミアを奪われた時には、まともに機能する軍隊も、軍用品もありません。軍事力があれば、今の状況は起こっていなかったかもしれません。 核兵器を手放すことによって国境を尊重してもらうことを約束されたのに、簡単にその約束を破られると今後、自ら核兵器を手放す国ははたしてでてくるのでしょうか? 2014年のマレーシア航空17便撃墜事件を思い出して見てください。オランダ、マレーシア、オーストラリアなど298人の一般人がロシアによって命を奪われています。 今のロシアのさらなる侵略を許せば、軍事力によって他の国の乗っ取ることに対してGOサインを出すことになります。 そうなると、各国の安全は今まで通りに保証できるのでしょうか? ----------------------私の意見---------------------- 拡散を希望します。私達日本人はウクライナで起こっていることを対岸の火事とは思わないことです。 ------------------------------------更に追記--------------------------------- Sofiya Kataoka | 片岡ソフィヤ🇺🇦(@sofiya_kataoka)さん / Twitter 私の友人からSofiya Kataokaさんのレポートが送られてきて、早速私は論文をブログに掲載した。ロシアによるウクライナ侵攻が始まって既に400日になろうとしている。 当初3日くらいで制圧されるかと思ったが、必死に家族を守ろうとしているウクライナ軍と上のからの命令で仕方がなく戦闘に行くロシア兵との間に差が出来てしまったのだろう。 私の知りあいに北方領土からの引揚者が何人かいる。戦争が終わって突然ロシア兵がきて、北方領土、国後・択捉・色丹島で暮らしていた人たちは着の身着のまま逃げて北海道に来たわけだ、家は勿論作業場や畑はソ連に撤収され、そこにスターリンはソ連の国民を送り込んだわけである。 ウクライナがもしロシアに負けたら、シベリア辺りに移住させられ、新たにロシア人がそこで暮らすことになる。かつてSofiya Kataokaさんの言う通り強制移住させられたわけだ。親子もバラバラにされてしまう。だからウクライナ兵は徹底的に戦っているのだ。侵略者たるロシアに立ち向かうウクライナ人をEUと米国が応援しているわけだ。私は是非日本もドイツのように戦車を供与すればいいと提案する。 プーチンのやってることは最早大義名分はない、侵略行為でしかない。私はウクライナを応援すべく日本もNATO加盟を申請しウクライナに対して一緒にNATO入りを申請しましょうと、ゼレンスキー大統領に呼びかけすべきと思う。話し合いで通用しない相手には行動しかないわけだ。 ソフィア片岡さんの画像 関西在住ウクライナ人🇺🇦 在日歴25年。マーケティング・リサーチ アナリスト。平日は会社員、それ以外は@NPO_KRAIANYでイベント企画、講演、翻訳などなど、ウクライナ支援のボランティアしてます。返事は遅めです。すみません お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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