えー、やはりもう少し「Carl Zeiss Planar 1:0.7 f=50mm」に対する研究はした方が良さそうです。観ていない「バリー・リンドン」も観た方がよいでしょう。なんでもプラナーを使ったのは冒頭のみらしいんですが。
さて、「カール・ツァイス大口径伝説」の最終章です。
実は大口径レンズファン、ツァイスファンの中には、「Carl Zeiss Planar 1:0.7 f=50mm」の他にもう1本伝説の大口径レンズが存在するのです。その名を、
「Super-Q-Gigantar 40mm F0.33」
と言います。F0.33ですよ。
F0.33!
ちなみにF1.0以下の1絞りとは、F0.7、F0.5、F0.35となるはずなので、F0.33となればF1.0から3絞りも明るいレンズであるということになっちゃいます。つまり、夕暮れ時にCanon EOS 5Dに魔王を取り付けて、当然F1.0絞りで撮影をしていて、ISO400の設定でノイズとブレを気にしながら1/15秒だとすると、F0.33というレンズを取り付けたならノイズレスのISO100でブレも軽減できるだろう1/30秒にすることができます。すげーよそれって。
このレンズの存在を知ったとき、名前と明るさのみという情報でした。次に入った情報は、どうやらフォトキナで発表しただけのレンズらしい、というところ。しかしそのお姿はまるで闇の中でした。今回調べてみたら、なんとその焦点距離は40ミリであることがわかり、かつ、1枚のみでしたがお姿も知ることができました。どうぞごらんください。
どうよ?
これを最初に見つけたときに思い出したのは、ニコンの大口径超魚眼レンズですね。正直なところ、自分が考えていたレンズ形状とまるで違うお姿なので、再検索しました。でも同じこのお姿のレンズが「Super-Q-Gigantar 40mm F0.33」ということのようなのです。
これまたいろいろな言語の文章からこのレンズについての記述をまとめます。
その1 プラナーF0.7と同じく1966年フォトキナにて発表
その2 取り付けてあるボディはコンタレックス
その3 1枚目レンズの直径は125ミリ
その4 先端の銀のリングが絞りで手前がピント
その5 「Q」とはドイツ語で「quatsch」という意味
その6 このレンズはツァイスの技術パフォーマンスだった
その7 フォトキナでも以降もこのレンズによる写真は登場せず
なんつーか、七不思議みたいなもんですな。
ちなみに「quatsch」を調べてみたら、「ナンセンス」なんだそうです。なんか胡散臭い雰囲気が出てきましたねぇ。
状況を推測するに、
「カール・ツァイスとしてはF0.7よりも明るいレンズであるF0.33を設計し製作することができた。生産することも可能だが、こんなナンセンスなレンズは必要ないでしょ」
という、ツァイスの技術宣伝アイテムであり、ドイツ人流のジョークなのかもしれません(笑)
ちなみにコンタレックスのフランジバックは46ミリですから、40ミリレンズとなればレトロフォーカスにしなければならないはずです。レトロフォーカスの基本とは、レンズの前群を凹レンズ系とすることにより焦点を後ろへ移動させる設計方法です。となると、光をばっちり集めるというような意味合いに取れる「Super-Q-Gigantar 40mm F0.33」の巨大な凸レンズでは、レトロフォーカスになり得ないんじゃないか、と素人は思う訳です。でもインパクトは大きいよね。
100歩譲って昔の超広角レンズや魚眼レンズのように、ミラーアップ必須なレンズだとします。でもそれじゃぁF0.33なんて言う超極薄薄ピントを合わせることなんて不可能に近いでしょうし。
ライカ判のイメージサークルをクリアできるかどうかできちんと撮影できる「Carl Zeiss Planar 1:0.7 f=50mm」があのサイズなのに、「Super-Q-Gigantar 40mm F0.33」のサイズで2絞りも明るいレンズに仕上がっているということ事態が妙とも言えます。
ま、「Super-Q-Gigantar 40mm F0.33」というレンズは、「66年当時のツァイスとしての技術広報」という見方で間違いないのかもしれません。
ということで、F0.33ってやっぱり夢なんでしょうね。それにしても、40年以上経った時点で人をワクワクさせてしまうツァイスって、やっぱりすごい光学メーカーなんだと思いました。はい。
大口径レンズは永遠なのです。
以上で「カール・ツァイス大口径伝説」を一旦終了したいと思います。
追伸:ある意味「つづく」なのかもしれませんよー(謎)
「夕刻のフェンス」
Canon EOS 5D
CONTAX Carl Zeiss Planar T* 55mm F1.2
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