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テーマ:今日行ったコンサート(1138)
カテゴリ:クラシック
神奈川県立音楽堂 15:00~
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲「四季」 2つのヴァイオリンと通奏低音の為のソナタ「ラ・フォリア」 リーコーダー協奏曲「ごしきひわ」 チェロ協奏曲ニ長調 RV403 ピッコロ協奏曲ハ長調 RV444 <アンコール> ヴィヴァルディ:「ごしきひわ」第3楽章 J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番 第4曲 ブレー ラ・プティット・バンド 音楽監督・ヴィオロンチェロ・ダ・スパラ:シギスヴァルト・クイケン ヴァイオリン:サラ・クイケン、赤津真言、アンネリース・デコック ヴィオラ:マルレーン・ティールス リコーダー、ピッコロ:ペーター・ファン・ヘイヒェン チェンバロ:ベンジャミン・アラード 先週のABQ同様、第15回神奈川国際芸術フェスティヴァルの一環の公演です。 遅れそうになり、慌ててバタバタと着席。雨で涼しいとはいえ、駆け込むと湿気があるのでなかなか汗が引いてくれません。音楽堂は客席狭いし.... ラ・プティット・バンドの公演、という認識で出掛けて来たので、席について少々驚いたのが、チェンバロと譜面台の配置からして、どう見ても室内楽アンサンブルの人数であること。だって、確かラ・プティット・バンドって、2~30人くらいの団体じゃなかった?少なくとも、バッハの宗教曲くらいやってる筈だけど、これは一体? で、プログラムによると、本日の公演は、「ヴィヴァルディらのバロック期の室内楽では、多くの演奏家が一緒に演奏することが想定されていなかった」という最新の研究の成果に拠っているのだとか。はぁ、さよけ。 そういう小理屈はあまり好きじゃないんすけどね.......と、2秒ほど思う。ええ、勿論、私は研究発表会に来た訳では御座いませんのでして、音楽を聴きに来たのだから、そっちが良ければ文句はありません。 で、お馴染みの「四季」が、独奏ヴァイオリンと、弦4部+チェンバロの計6人によって演奏されました。 どうだったか?ええ、確かに悪くないんですが..... 私が座っていたのは、センターではないものの、かなり前の方。6人いる内、合奏の方のヴァイオリンは舞台上手側に居たのですが、このヴァイオリン奏者達の楽器の向きからは外れている。 そうするとですね。あまり聞こえないんです、合奏のヴァイオリンが。皆古楽器で、勿論ガット弦なので、当然音は大きくはならないのですが、さすがに古いし客席が狭いとは言え、一応「現代の音楽ホール」です。響きがいいのかも知れないけど、果たして、後ろの方、聞こえていたのかな?バランス的には後ろの方が上手く混ざって聞こえたと思いますが、ちょっと厳しかったのではないでしょうか。自分が居た位置で言うと、奏者の位置が変わるとはっきり音の大小が変わってしまう、そんな感じでした。これは音楽がどうこう、ということではないけれど、この種の音楽の難しさを改めて感じさせる、というところでしょうか。 音楽的には、装飾音を多用したり、テンポは最近の演奏では標準的といったところで、まぁ全般には「イマドキのヴィヴァルディ」という感じでしたですね。1パート1奏者という小編成のメリット・デメリットとしては、先述の音量の問題に加えて、デュナミークが十分に付けられないという問題があったと思います。「いや、そもそもそういうものだったんだ」という言い方は勿論可能ですが、ここまでいろいろ削ぎ落としてしまうと、音楽としてのダイナミズムがかなり限られてしまうのも事実。一方で、確かにこれだけの限界編成にしたことで、言わば個々の音が単純化かつ純化されて、その面での気持ちよさが感じられたのも事実。また、ここまで絞ることで、装飾音の付け方など、いろんな面で演奏者にとって自由度がより上がっているのも確かだと思います。 四季の第4曲「冬」の第二楽章、一般的にはゆったりと演奏されるところで、シギスヴァルト・クイケンは、ヴィオロンチェロ・ダ・スパラで、小刻みに装飾音たっぷりの速いテンポで伴奏を付けていました。通常の演奏が「暖かい暖炉の温もり」を感じさせるなら、この演奏は「頼もしげに爆ぜる暖炉の炎」を感じさせる、というところでしょうか。なるほど、それもありだな。 シギスヴァルト・クイケンの弾いていた ヴィオロンチェロ・ダ・スパラは、これまた最新の研究の成果に拠る、「肩掛け式のチェロ」。バロック期の絵画や文献などからみて、肩掛け式のチェロはあった筈で、現物も一応残存しているものもあるし、ということだそうです。 で、音は.....やはり、ヴィオラ・ダ・ガンバやバロック・チェロと比べても、低温が響くということではないし、音量も小さめ。要は、そのようなところに存在意義がある楽器ではないのでしょう。ある種、繊細な楽器とも言えるのでしょうか。 確かに、こうした編成による演奏の場合、音量面で結果的にバランスが取れるので、その点はいいのだと思います。ただ、音域面でヴィオラ・ダ・ガンバを代替出来るとも思えないし、微妙なところではないかなぁ。今後、「最新の研究の成果」によって、「この曲はダ・ガンバ」「この曲はダ・スパラ」という風に、切り分けが始まるんでしょうか。 大体言いたいことは書いてしまいました。 後半は、各種楽器による協奏曲など。これもそれぞれで面白かった。最初の「ラ・フォリア」はヴァイオリン二本とダ・スパラ、それにチェンバロと、ソナタと言っても先の編成と大差無し。本当に、「1パート一人」というのが妥当なのかどうか、この演奏が面白かったかどうかということとは別に、やはり考えどころなのでしょうか。 最後のピッコロ協奏曲は、多分初めて聞いたのですが、なかなか面白かったです。ピッコロというか、ソプラニーノ・リコーダーらしいのですが、これまたかわいらしい音で(笑) アンコールを2曲。これはちょっと意外でした。2曲もやるとは思わなかったな。最初に、後半にやったリコーダー協奏曲の一部を再演したので、「特に準備はないんだな」と思ったのですが、バッハもやってくれました。十分堪能。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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