「尼崎連続殺人事件」の首謀者・角田美代子を恐るべき「モンスター」に仕立て上げ、一連の凶行を引き起こさせた男がいる。関係者への取材や捜査資料などから明らかになった美代子の正体、事件の真実を記す。
少なくとも10人を超える死者・行方不明者が出ているとされ、我が国犯罪史上有数の凶悪事件に発展した兵庫県尼崎市の連続殺人事件。2012年12月に県警本部の留置場で自殺した主犯の角田美代子はいかにして、ありふれた5つの家庭に食らいつき、家族が互いに殺し合うような冷酷な犯行に及ぶことになったのか。また、被害者たちはなぜ、暴力と虐待に支配された地獄絵図のような家庭環境や、奴隷のような人間関係から逃げ出さなかったのだろうか。そして、鬼畜の所業を繰り広げた「不世出のモンスター」はどうして死んだのか。知られざる事件の真相に迫る、超一級のノンフィクション!
以前に、同じく尼崎連続殺人事件についてのノンフィクション『家族喰い』を読んだことがありましたが、本書はその『家族喰い』とは違った視点で、事件の背後に「M」と呼ばれる山口組系暴力団下部組織の幹部の存在を突き止め、その幹部から美代子への影響関係を基にして、この事件を解き明かしています。事件の全容解明までは至っていないものの、独自取材の丹念さが伺え、闇社会との接点は、引き続き調査中とも書かれていましたが、Mと警察との関係なども引き続き調査してほしいです。
【満足度】 ★★★★