たばこ広告の規制強化
この世界会議で、日本だけが税収が減ることを理由に反対して世界中から批判されたそうで、国民の健康より税収を優先していることが公になりましたが、この広告規制は当然の規制です。しかし、たばこのテレビ広告を自粛してから、テレビドラマなどでのヒーロー、ヒロインなど目立つ存在の出演者の喫煙シーンが倍増しているそうで、今でもその傾向は続いているようです。JTが宣伝料を支払って脚本を変えているのでしょうか。次はどんな手を使って喫煙を促進するのか見ものです。喫煙や受動喫煙が原因で病気になった人の医療費は99年度の推計で約1兆3000億円。これはその年の医療費全体の4.2%を占めるそうです。入院などで生じる労働力の損失、火災による物損などを総合した社会的コストは約7兆3800億円。一方、たばこ販売総額は約4兆1700億円(00年度)。あくまで概算だそうですが、たばこが社会に与えている損失の大きさがいかに大きいかがわかります。最大の健康阻害要因、死因とわかっている喫煙者の勇気には、敬服しますが、環境基準の5000倍という毒ガスを撒き散らしていることを自覚されての喫煙マナーに期待したいです。****************************************************************◆たばこ広告規制強化 たばこの広告が、電車やバスの車内、駅の構内から姿を消すことになった。世界保健機関(WHO)が昨年5月、たばこの広告や販促活動の原則禁止を盛り込んだ「たばこ規制枠組み条約」を採択して「人目に付きやすい場所は原則禁止」としたのを受けて、財務省は30日、たばこ業界を規制する指針を3月にも改正することを決めた。業界もそれを受け入れ、自主規制を強化する方針だ。 たばこ業界はこれまでも自主的にテレビやラジオ、インターネット、学校周辺での看板設置などの広告を控えてきた。新しい規制では、電車やバス、タクシーの車内広告、屋外看板が禁じられる。駅構内の広告も、たばこの販売場所や喫煙所を除いてできなくなる。日刊の新聞紙上でのたばこ広告は「1紙あたり年間12回まで」などの数値規制も導入する。 ◆もう一つの「喫煙病」 死者1万人超え、増加傾向 たばこが原因で起きる病気といえば、肺がんが思い浮かぶ。だが、喫煙者を死に追いやる、もう一つの肺の病気が、急増しているという。その名は慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)。世界銀行の予想によると、20年には、心臓病、脳卒中に次ぐ死亡原因の第3位に。――COPDは動向が世界的にも最も注目されている病気の一つだ。たばこや粉塵で起きる呼吸器の炎症のことで、生活習慣病であるとともに、一種の文明病としても位置づけられる。おおざっぱにいえば、これまで「肺気腫」(細い気道から炎症が始まり、肺の奥の肺胞に進み、呼吸がうまくできなくなって、空気の固まりで肺胞が狭まる)や、「慢性気管支炎」(太い気道や気管支に粘膜細胞が増えて狭くなり、せきやたんが増える)とされてきた病気と、そのいずれかに向かう軽症患者をひっくるめたもの。発症すると後戻りがきかない点が、ぜんそくや、感染などで起きる呼吸器の炎症とは根本的に違う。軽いせきやたんから始まる症状は、運動時の息切れや体重減少へと発展、最終的にはじっとしていても呼吸が困難で、常時酸素吸入状況になる。気道を拡張する作用のある抗コリン剤を中心にした治療を行うが、病状の進行を食い止めるのがやっと。重症例には、肺移植まで含めた手術を考えることもある。間接喫煙も含め、たばこが原因のものが大半とされる。喫煙者は非喫煙者の6倍もCOPDになりやすいというデータが出ている。軽症のうちに禁煙すれば、進行が緩くなり、重症化を防げる可能性が高い。非喫煙者の症例もあり、これらは大気汚染や有害粒子の多い職場での労働などが原因と考えられている。米、英などを追う形で日本呼吸器学会のガイドラインがつくられたのが99年。この基準によってCOPDと診断された患者が22万人になる。しかし、疫学調査によれば、軽症まで含めれば、40歳以上の日本人の1割に当たる約700万人の患者がおり、予備軍はさらにその数倍になる。厚生労働省人口動態統計では、02年のCOPDによる死亡者は1万3014人。男性で死因の8位、女性は14位だが、ここ数年の増加が目立つ。◆禁煙、5割以上が成功 増税後の「挑戦者」調査 03年7月のたばこの増税をきっかけに禁煙に挑戦した人の5割以上が成功していることが製薬会社ファイザーの調査でわかった。10月にインターネットを通じて男女300人に聞いた。増税後、完全に禁煙に成功したのは57%。ガムなどの禁煙補助剤を使うなど現在も挑戦中の人は24%で、合わせて8割以上が禁煙を継続していた。このうち8割は、以前にも禁煙しようと思ったり、実際に挑戦したりしていて、多い人は10回以上失敗していた。禁煙した理由は「健康のため」が約半数でトップ。「節約」が34%で「家族や友人の勧め」「喫煙できる場所が減った」「社会的評価のため」などもあった。禁煙してよかったことは「節約できた」が29%で最も多く、「体調がよくなった」「家族に喜ばれた」「食事がおいしくなった」の順。つらかった時期は「2~3日後」が43%。「初日」の10%や「1週間後」の24%を上回った。つらかったのは「口さみしさ」「イライラ」など。4人に1人は禁煙補助剤や禁煙グッズを使っていて、家族や同僚の応援やインターネットによるサポートをあげる人も多かった。同社は「喫煙者の健康志向は高く、過去に禁煙に踏み切れなかった人が、今回は成功していて、増税は禁煙挑戦の意識向上に寄与したようだ」としている。