オススメ度★★★★☆
この本を僕が知ったきっかけは、オイラーの公式でした。
インターネットでオイラーの公式を調べていた際に、
とても美しい式(オイラーの等式)に出会い、
「ちなみにこの式は『博士の愛した数式』でも登場している」と
書かれていたのを見て、気になって本を読んだのです。
温かみのある良い作品でしたよ。
数学の綺麗さと面白さを、文字を使って表現した
作家の小川さんは、すごいと思います。
さて、この本での主な登場人物は、
事故によって80分しか記憶を保持できなくなった「博士」と、
家政婦の「私」、そして、その息子「ルート」です。
「博士」は毎朝、衣類に付けた自分のメモを見て、記憶が80分しか持たないことを知ります。
毎日病気の告知を受けているわけですから、毎日ショックを受けます。
そして、それだけしか記憶がもたないから、
「博士」は毎日出会う家政婦の「私」と毎回ぎこちない「はじめまして」をします。
一方、同じ「はじめまして」であっても、
「博士」にとって「ルート」は常に愛情を注ぐべき存在です。
その奇妙な関係が、数学と野球の話題を中心に描かれています。