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カテゴリ:新年
2016年もよろしくお願いします。
張九齢の有名な漢詩に「照鏡見白髪(鏡に照らして白髪を見る)」と題された次のようなものがあります。 宿昔青雲志(宿昔 青雲の志) 蹉跎白髪年(蹉跎たり 白髪の年) 誰知明鏡裏(誰か知らん 明鏡の裏) 形影自相憐(形影 自ずから相憐れまんとは) 左右ともに最近撮った私自身の写真ですが、まさに「形影自ずから相憐れむ」の感を覚えます。左の写真は意識的に解像度を落とし、右の写真は縮小して載せることにしました。 ところで、この張九齢の「照鏡見白髪」と題された漢詩を井伏鱒二が和訳しているのですね。そうです、于武陵の「勘酒」と題された漢詩「勧君金屈巵 満酌不須辞 花發多風雨 人生足別離(君に勧む金屈巵 満酌辞するべからず 花發すれば風雨多く人生別離足る)を大胆にも「コノ杯ヲ受ケテクレ ドウゾナミナミ注ガシテオクレ 花ニ嵐ノタトエモアルゾ 『サヨナラ』ダケガ人生ダ」と意訳した優れた文学者です。この井伏鱒二が張九齢の「照鏡見白髪」をつぎのように和訳しています。 シュッセシヨウト思ウテキタニ ドウカスル間ニトシバカリヨル ヒトリカガミニウチヨリミレバ 皺ノヨッタヲアハレムバカリ ではこの井伏鱒二訳を参考にして、私自身が年老いた写真を見ての感慨を詩にさせてもらいます。 出世なんてどうせ他人事だと思ってはいたが いつまにやら馬齢を重ね 独り撮った写真をそっとながめて見れば 玉手箱を開けてビックリ皺くちゃ爺さん お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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