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カテゴリ:やまももの創作短編
驟雨の放課後の思い出
菜種梅雨校舎の階下傘辞退 春驟雨濡れそぼちつつペダル踏む 内川雅人くんは戦後の昭和に産まれ、昭和に育ち、昭和に学んで、昭和に就職した団塊世代の人間です。 その雅人くんが高校生の頃の菜種梅雨の時期のなんとも侘しい思い出があります。放課後、二階の教室を降りて駐輪場に向かおうとすると、春の驟雨が突然降り出してきました。そのき、階段の下にいた同級生の橋川さんが用意してきた自分の傘を彼に差し出して「一緒に行かない」と言ってくれたのです。高校近くのバス停から一緒に帰ろうとの親切心から言ってくれたのでしょう。 しかし雅人くんはなんと彼女の親切を即座に断わり、駐輪場に駆け出して雨の降る中をペダルを校門に向かって漕ぎ出だしたのです。そのとき、彼は彼女の親切心に素直になれない自分の心に非常な引っかかりを感じたものです。 激しい驟雨の中、彼は奈良ホテルを右手に見ながら荒池沿いを濡れ鼠となって泥水を跳ね飛ばしながらペダルを漕ぎ漕ぎ自宅に向かったものです。この春雨の帰り途の思い出は、人の親切心に素直になれなかったその頃の雅人くんの心をずっと傷付け残り続けたものでした。 後、川柳を三首ほど紹介いたします。 令和とは元は張衡漢籍さ 塚田さん忖度で安倍麻生道 忖度を自慢してる政界人 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019年04月05日 17時50分09秒
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