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2007.06.11
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昨日の日記の続きです。 

あらためて、昨日の日記を読み返してみて、「佐久間艇長の遺書」の内容が書いていないことに気付きましたので、追記します。

参考にしたのは、精撰「尋常小學修身書」(監修:八木秀次 小学館文庫 714円+税)です。

「佐久間艇長の遺書」は、明治43年4月15日、帝國海軍第6号潜水艇が山口県新湊沖にて潜航演習中に沈没演習中に故障を起こして沈没し、艇長以下乗員14名全員が殉職した、という実話に基づく800字程度の物語です。この物語は、参考にした『精撰「尋常小學修身書」』によれば、修身の教科書の第5期、昭和16年から修身廃止まで用いられていたようです。以下に、「遺書」の内容を含む物語の後半部を引用します(前掲書のP239~241)。
---------------------------
 遺書には、第一に陛下の艇を沈め、部下をしなせるようになった罪をわび、乗員一同が、よく職分を守ったことをのべ、またこの思いがけないでき事のために、潜水艇の発達をさまたげることがあってはならないと考えて、特に沈んだ原因や、そのようすを、くわしくしるしてあります。
 次に、部下の遺族についての願いをのべ、上官・先輩・恩師の名を書きつらねて別れをつげ、最後に「十二時四十分」と、書いてありました。
 艇が引きあげられた時には、艇長以下十四名の乗員が最後まで職分をモアもって、できるかぎりの力をつくした様子が、ありありと残っていました。遺書は、この時、艇長の上着から取り出されたのでした。
-------------------------------


 この物語をテキストだけ読んだ場合、「好戦・参戦・向戦のための教材」と読むことは困難です。この物語から伝わる「徳目」は、参考にした『精撰「尋常小學修身書」』に、見出しとしてつけられている「やるべきことを成し遂げる(責任)」でしょう。また、佐久間艇長の人物像としては、部下をしっかりと掌握していた人で、死が目前にある中でも、冷静に判断して的確な指示を出すことができた人、軍人として自分の職務をしっかりと把握していた人、などはでてくるかと思いますが、「好戦・参戦・向戦」の人物ではありません。

 この物語を「好戦・参戦・向戦のための教材」として位置づけるには、
この物語のもととなった潜水艇の沈没事故が起こった明治43年(1910年)が、
軍事大国であろうとする大日本帝國の枠組みが強まった年であり、
(以下ウィキペディアより引用)
------------------------------------
・1月21日 - 日露両国はアメリカ合衆国提案の南満州鉄道中立化案を拒否する。
・3月13日 - 憲政本党、又新会、無名会などが合同し、立憲国民党が結成される。
・6月1日 - 幸徳秋水が逮捕される。(幸徳秋水事件 - 大逆事件)
・8月22日 - 日韓併合条約が調印される(韓国併合)。
・8月29日 - 韓国併合が実施され、朝鮮総督府が設置される。
-------------------------------------

 また、この物語が修身の教科書に採用されたのが、昭和16年という大東亜戦争の対米戦開始の年からであり大東亜戦争の敗戦、修身廃止まで続いていたということ、
(以下ウィキペディアより「1941年」の項より一部引用)
-------------------------------------
・1月8日 - 東條英機陸相が陸軍の全将兵に戦陣訓を布告。
・2月 - 情報局が各総合雑誌に執筆禁止者の名簿を示す。
・4月6日 - ナチス・ドイツを始めとする枢軸国がユーゴスラビアに侵攻。
・4月13日 - 日ソ中立条約成立。
・7月 - 米、在米対日資産凍結。
・10月18日 - 東条英機内閣が成立。
・12月8日 - 日本軍の真珠湾攻撃・マレー半島上陸で大東亜戦争(太平洋戦争)が開戦する。
-------------------------------------

この二つの時代背景をあわせて考えてみてかろうじて
「好戦・参戦・向戦のための教材」として位置づけることも可能になるかもしれません。

実際にどうような授業展開だったのかがわからないのが批判するにも辛いところですが、
授業案を見る限り、時代背景についての授業が行なわれたとは思えず、
あくまでも、「文の要約」と「二つの物語の対比」から結論をだしていくように見えます。
 私は、「情報提供者の意図を読み取る」上で、大切なのは、その「情報」が「どのような提供者」であるのかを確認し、情報ソースを確認していくなかで、「何の目的で」提供されているのかを考えるのが重要だと考えていますから、メディア・リテラシーの教育として考えたときに、これでは一番肝心なところをはしょってしまっていると思います。

「対比」は、向山型国語で読み取りに用いる重要なポイントのようです。
また、「キーワード」「20字要約」もポピュラーな手法のようですね。

グーグル検索で、グーグルで「伴一孝 一つの花」という検索をかけると、「『一つの花』を一時間で授業する・伴実践追試」というページが出てきました。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~mtoshiki/hitotunohana1.htm、TOSSのサークル所属の先生のHPのようです。2000年に開催された「教え方教室」での伴一孝先生の模擬授業の追試として、「一つの花」単元を6時間授業した後に、「力試し」として行なった授業なのですが、ここに「一文に要約する」課題を子どもたちに提示して、「ゆみこが戦争でお父さんを亡くした話」という正解を導き出す授業を行なっています
キーワードと物語の要約文については、伴一孝先生の正解が用意されていて、
子ども達の発表をキーワードの有無で採点し、
「正しい要約」に導くようになっています。

これは、一見中立的な「対比」や「要約」という「言語技術」を教えるという名目で、
実は、授業を行なう者の、思考のバイヤスを意図的あるいは無自覚のうちに教えているように思います。

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Last updated  2007.06.11 11:53:32
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