ウォール・マリア領は人類に残された領土の3分の1にあたる。
5年前この領土を失った人類は残された2枚の壁の中で悟った。私たちはもう生きてはいけないのだと。なぜなら人類は巨人に勝てないのだから。
だがある少年の心に抱いた小さな刃が巨人を突き殺しその巨大な頭を大地に踏みつけた。それを見た人類は何を思ったのだろう。ある者は誇りを、ある者は希望を、ある者は怒りを叫びだした。
ではウォール・マリアを奪還したなら人類は何を叫ぶだろう。人類は生きていいのだと信じることができるだろうか。自らの運命は自らで決定できると信じさせることができるだろうか。
ウォール・マリアさえ奪還すれば...
進撃の巨人 3 #50 (3期13話) 『はじまりの街』
3期後半はウォール・マリア奪還作戦の続きから。
☆前のお話は → 「
第38話~第49話 あらすじまとめ」
★1期 → 「
進撃の巨人 第 1話~第25話」
★2期 → 「
進撃の巨人 第26話~第37話」
夜の闇に紛れてウォール・マリアを目指す調査兵団。
巨人発見。
「大丈夫。ぐっすり寝てる。この子も夜に動くっていう新種ではないようだね...ほっといてやろう」
「私たちはきっとこの闇夜に守られている。月の光は太陽光の反射だからね。新種の巨人はその微量な月光を糧にして動いてるって仮説が正しければだけど。新月を選んで正解だった。あの時と同じことが起こらない保証は何もない。今の子も月光の巨人だったのかもしれないからね」
震えが止まらないエレン。
(くそ...こんな調子でウォール・マリア奪還に失敗したらどうなる? どれだけの人が失望すると思う? また次の機会なんてもんがあると思うか? やっぱり俺じゃダメなのか。こんなやつがどうやって人類を救うっていうんだよ...)
アルミンに震えて怖いのかと聞かれたエレンは寒いだけだとごまかす。アルミンは僕なんかずっと震えが止まらないんだけどと言った。
「普通はみんな巨人が怖いんだよ。僕なんか初めて巨人と対峙した時まったく動けなくなったんだ。でもそんな僕を君は巨人の口から出してくれたんだ。なんであんなことができたの?」
「思い出したんだ。お前が俺に本を見せた時のことを。それまで壁の外のことなんか考えたこともなかった...あの時おまえの話を聞いてお前の目を見るまでは...お前は楽しそうに夢を見ているのに俺には何もなかった。そこで初めて知ったんだ。俺は不自由なんだって。広い世界の小さなカゴでわけわかんねえやつらから自由を奪われている。それがわかったとき許せないと思った...自由を取り返すためなら力が湧いてくるんだ。ありがとうな。もう大丈夫だ...たぶん来年の今頃俺たちは海を見ているよ」
「この辺り、見覚えがある。確か薪を拾いに来たことが...」
「僕たち帰ってきたんだ。あの日ここから逃げて以来、僕たちの故郷に...」
エルヴィン:「物陰に潜む巨人に警戒せよ。これより作戦を開始する。総員、立体機動に移れ」
『塞ぐべき門はふたつ。内門と外門だ。これによってシガンシナ区を独立させ中に残った巨人をせん滅する』
『我々の動きを知れば敵はエレンを狙って来るだろうが、ここにいるのはフードで顔を隠した総員100名の兵士。誰がエレンかわかった時はすでに外門を塞いだ後だ』
アルミンがたき火の跡を見つける。
(いる! 近くに...ベルトルトとライナーが...)
エレン: (俺の家はあのあたりだ)
(あそこに、すべてを置いてきた...大丈夫だ。取り返してやる)
「やっぱりおかしいな...巨人が一匹もいないのは...」
「だが、やるしかねえ」
「ああ、作戦続行に支障なし」
エレン:『俺にはできる...いや、俺たちならできる。なぜなら俺たちは生まれた時からみんな特別で自由だからだ!』
エレン巨人化。
隠れてのぞくベルトルト。
ライナーも。
巨人の硬質化で穴を塞ぐエレンの作業終了。
「成功です」
「しっかり塞がってます」
ハンジ: 「...では内門に向かう。移動時に狙われぬようしっかり顔を隠せ」
エレン: 「本当に塞がったのか? こうもあっさり...」
ミカサ: 「あなたがやった。自分の力を信じて」
リヴァイ: 「まだだ。やつらが健在なら何度塞いでも壁は破壊される。ライナーやベルトルトらすべての敵を殺しきるまでウォール・マリア奪還作戦は完了しない」
「...しかし妙だな。襲って来る気配がない。それどころかここにきて一匹も巨人が見当たらない。敵は俺たちの強襲に対応できてないのか?」
「だといいが、アルレルトの発見からすると...」
「調べてきました。やはり何者かが野営していた模様です。ポットは冷めきって地面に灯具が散乱していました。紅茶のようなものを飲んでいたようです」
「それと黒い液体を注いだ跡があるカップが3つ。少なくても3人が壁の上にいたようです」
エ:「我々は馬と立体機動を駆使して全力でここに到達した。ここから我々の接近に音や目視で気づいたのなら早くて2分前が限度のはず。使用直後のポットが2分で冷めるはずがない。おそらく5分がそれ以上前に我々の接近を知りそれに備える時間も十分にあったというわけだ」
ア:「か、壁の上にいた3人以外の斥候が存在して...いや、もっと大勢の敵が潜んでいると想定すべきで...」
エ:「今は敵の位置の特定を第一とする。アルレルト君はその頭で何度も我々を窮地から救い出してくれた。まさに今その力が必要な時だ。必要な数の兵を動かし内門周辺に敵が潜んでいないか探り出してくれ。これよりアルミン・アルレルトの支持に従い捜索を続行せよ」
「了解」
「壁は隅々まで調べ上げたぞ。さあ指示をくれアルレルト」
内門周辺の建物を探したが敵は見つからない。もうエレンたちが内門を塞ぎに来る。失敗したら後がないと焦るアルミン。
(敵はいつもありえない方法で僕らの予想外から攻めてくる。僕らがいつも不利なのは、いつだって僕らが巨人を知らないからだ...いつも...)
「全員で壁を調べてください。壁の中です。きっと人が長い間入っていられる空間がどこかにあるはずです」
「なぜそれがわかる?」
「...勘です」
「お前、今がどういう時だかわかっているのか。そんなことにかける時間はないんだ」
「しかし、敵はいつだって、ありえない巨人の力を使って僕たちを追いこんできました。誰でも思いつく常識の範疇にとどまっていては、とうてい敵を上回ることはできないのです」
エルヴィンが作戦中止の合図を出す。
「時に厳格に、時に柔軟に。兵士の原理原則に則り最善を尽くせ。指揮系統を遵守せよ。我々は勝利するためにここに来たのだ」
アルミンの指示で再び二手に分かれて壁面を調べる。
(いつ何時エレンが現れても対応できる位置...常に状況が見渡せる位置...もしそんな死角があるとすれば壁の中しかない。僕らが壁の中の巨人を知っていると敵が知らないなら、そんな発想はしないと踏んでいるなら。あるいは...)
壁に空洞を発見。見つけた兵士を刺し殺してライナーが出て来た。
すぐにリヴァイがライナーを襲うが刺されたまま巨人化。
リ:「クソっ、これも巨人の力か。あと一歩、命を絶てなかった」
エ:「周囲を見渡せ。他の敵を捕捉し...」
たくさんの巨人たち。そして獣の巨人。
投石~
「外したのか?」
「いいや、いいコントロールだ。やつは扉を塞いだ。馬が通れない程度にな。まず馬を狙い包囲する。我々の進路を断ちここでせん滅するために」
「我々は互いに望んでいる。ここで決着をつけようと。人類と巨人共、どちらが生き残りどちらが死ぬか」
★次回 「雷槍」