秋たけなわの阿弥陀岳南稜 2011.10.29
山行記録を調べてみたら21年ぶりの南稜である。朝3時に静岡市を出発。メンバーは、M本さんとT浪クンの計3名。中央高速の小淵沢ICを降りて鉢巻道路から舟山十字路に着く。千葉ナンバーのクルマが1台のみ。気温は4℃、風はないのでさほど寒さは感じない。空は文句のない快晴、グッと気分も高まる。今日のコースは、舟山十字路~南稜~阿弥陀岳山頂~御小屋尾根~舟山十字路の周回を設定。6時30分にスタート、ゲート横を抜けてしばらく足馴らしの林道歩きも広河原沢を渡り堰堤の横から対岸を急登して南稜に乗った。隣の山腹に朝日が射してカラマツ林が黄金色に輝いている。8時30分、右が切れ落ちた堰堤のような青ナギを通過。これから登る阿弥陀岳南稜がはっきりと見てとれる。赤岳と天狗尾根の大天狗が異彩を放つP1、P2は難なく通過、P3に向かう。P3の中間部でニホンカモシカがチラチラとこちらの様子をうかがっていた。阿弥陀岳バリエーションルートの核心部P3のガリー(ルンゼ)へは基部から左方に延びるバンドをトラバース、リッジを回り込んでやや下ったところから取り付く。岩にワイヤーが数メートル張ってあるが無視して取り付いたほうが登り易かった。足下は広河原沢が切れ落ちているので落ちるわけには行かない。以前に張られていたらしいフィックスロープは取り払われていて今はない。慎重に三点支持の原則を守りながら高度を上げる。余裕でVサインのT浪クン、さっきまでの表情とはちょっと違うようですが、、、?でも彼は大したもんです。!!まだ山をかじり始めていくらも経たないのにね。まだ日の当たらないP3ガリーを攀じるガリー上部の草付部分を越えて稜線に出た。富士山と権現岳のカップリングだあ~。P3~P4間はハイマツ帯の緩い登り、一息ついて目前のP4を目指す。前回(21年前)はザイルを出して直登したが今回はここを左に巻くことにしよう。P4を回り込んだところから眼下に下山ルートの御小屋尾根を見下ろす。山麓をカラマツ林の黄色が彩っている。遠い彼方に諏訪湖や御岳も見えている。核心部のP3、P4をクリア、10時30分に阿弥陀岳(2805m)山頂に着く。登山口からちょうど4時間を要した。山頂から登ってきた南稜を振り返る。360度の大パノラマを堪能する。北に目を転ずれば硫黄岳と天狗岳が。目前の八ヶ岳の盟主、赤岳山頂で、旨い缶ビールで喉をうるおし昼食を済ませて11時30分、御小屋尾根の下山開始。直下の摩利支天の大岩でバンザーイするのはT浪クン。左に続く尾根は中央稜、次回はここを使ってみよう。ロープの張られたハイマツ帯の急坂をいっきに下り長~い御小屋尾根を眺める。尾根の右側には美濃戸の小屋が見えている不動清水から先は比較的緩やかな遊歩道感覚の小道が続く。緑の苔とシャクナゲが美しいところだ。(不動清水の水場は登山道から2~3分の所にあって水量も豊富とは言えないが年間を通して枯れることはなさそうだった)林床を這う地衣植物のミヤマハナゴケがひときわ目立つ。すでに葉を落としたダケカンバの白い幹が紺碧の空に映える御柱山(御小屋山)からは見事なカラマツの黄葉、今がピークか。ここはMTBで走りたくなるような気持ちのいい山道がずっと続いている。写真を撮るために二人には先に行ってもらったがここはのんびりと歩きたい、短い秋をじっくり味わいながら、、あと数週間でカラマツの金色の葉が風に乗ってハラハラと舞う様が目に浮かぶ。それもいい風情なんだよなあカラマツの黄葉にうっとりしながら南稜と御小屋尾根分岐の林道に出た。あとわずかで今日の山行も終わってしまう。14時。スタートした舟山十字路に戻った。秋たけなわの阿弥陀岳南稜、満足度は200%であった。下山後は、原村のもみの湯(500円)で疲れを癒して家路に着いた。膝痛でしばらくブランクのあったM本さんもここ数回の山行の様子からして完全復活と見える。以前共に歩いた仲間が再び戻ってきてほんとうに嬉しい。