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テーマ:海外生活(7783)
カテゴリ:アメリカ生活の日常
不動産屋をやっていると、日本から来られる方の家のお世話をする機会が多い。そうすると、子供の居られる人はまず例外なく教育水準の高い地域への居住を希望される。 日本的に教育水準の高いところを、ということもあるが、アメリカではそれに加えて、教育水準と地域の平均所得が高い相関にあることがあって、教育だけではなく、もっとも重要な生活の快適性、安全性、利便性などにも、この教育水準での地域選定は有効である。 残念ながらジョージア州は全米でもマイノリティーの人口比が高い州でもあり、これも残念なことに地域によるこのマイノリティー、特に黒人とヒスパニックの人口と所得水準は高い相関関係にあり、勢い、この比率が高いところは教育水準も低い傾向がある。 つい最近、大学の受験に必要な全国的なテストであるACTとSATの結果が相次いで公表された。このACTやSATは、高校在学中の成績と共に、大学側が入学を許可するにあたって重要視するテストとして、日本の全国大学共通テストと似ている。 しかし、違う点もある。ひとつは、これが全員受験ではなく、任意受験である、という点。 州によっても受験者比率はばらばらで、州内でも高校ごとにばらばらである。 なので、この結果を以って、すぐには教育水準の比較にはならないが、それでもある一定の指標にはなる。 もう一つの違いは、このテストは一回勝負ではなく、何回も受けられる、という点。例えばSATで言えば、回数によって違うが、3回までは、各科目ごとに、そのうち最高点を入学の願書に書くことができ、そのため一度失敗しても、なんどか挽回のチャンスがある、ということになる。 さて、公表された結果であるが、ジョージア州は、SATで言えば、州の平均点が1442点で、全国平均の1509点よりも67点も下回り、全50州の中では48番目ということで、この点数だけ見ると全米の中で最下位グループになる。 しかし、一方では州の努力もあり、年々受験者比率は高くなり、特に黒人やヒスパニック系の高校生の受験比率が急激に上昇しており、受験比率74%は全米でもTOP10に入る。 州の中で、全米TOPレベルの成績を出している州は、50%にも満たない受験比率であることを考えると、やはりこの数字だけ見て、ジョージアが最低ランク、という判断するのは早計であろう。 ジョージア州の平均点は、この受験者比率の増加と歩を一にして、この4年間、連続して前年を下回ってきている。 さて、このような背景を前提に、主としてメトロアトランタのFulton Countyの高校別の成績を見てみると、次のようになる。 (*注:州内順位は、受験者100名以上の学校のみ対象、Northview Highよりも上の高校が2校あるが、両校あわせて受験者は27名なので、こういった高校は除外している) 高校名 受験者数 州内順位* 2010年 2009年 前年比 Northview 596 1 1728 1722 +6 Alpharetta 415 2 1719 1686 +33 Chattahoochee 489 9 1687 1678 +9 Milton 485 17 1650 1657 -7 Roswell 453 21 1627 1671 -44 Centenial 342 24 1596 1614 -18 (参考) Fuloton County 平均 1580 1584 -4 Georgia 平均 1442 ? National 平均 1509 1509 0 Watson (Cobb County Top) 1711 Brookwood (Gwinnett County Top) 1651 Chamblee (Dekalb County Top) 1628 Fulton County受験比率 85% 75% +10% Gerogia State 受験比率 75% - - ちなみに、満点は3科目で2400点である。 この数字からだけ言えることは、Fulton Countyの高校は、その受験比率が高いにもかかわらず、6校が州のTOP25に入っており、中でも上位3校は州平均が下がっているにもかかわらず前年比で上昇していること。 このことからも、良い学区域には、ますます教育熱心な家庭が増えているということを意味してりるのかもしれない。 それにあわせて、マイノリティーはマイノリティーでも、アジア系マイノリティー特に、中国系、韓国系、インド系の人口が増えているところが、成績も上昇しているようだ。 いずれにしても、ジョージア州の中でも、このメトロアトランタ近辺は比較的教育水準は高く、中でもFulton Countyの中でNorth Fultonは、ほぼ全高校がTOP25に入っているし、その最低のCentenialでもFulton County平均を上回っていることは、Fulton County内でも、北部のNorth Fultonと南部のFulton(Atlanta市)では差が顕著になっていることがわかる。 この辺の感覚は、やはり町自体の清潔性、安全性、利便性などと、だいたい共通していることがうかがえる。 最後に、もう一方のACTであるが、これはあまりジョージア州では受験比率が高くない。 しかし、一応、2010年の出ている結果をまとめると、 North View High 25.5 (2009年 24.6 +0.9) Alpharetta High 25.1 (2009年 23.8 +1.3) Milton High 24.6 Chattahoochee High 24.2 Roswell High 24.1 Centenial High 23.4 Johns Creek High 23.0 All 7 North Fulton High's Are Within TOP20 In State of Georgia Fulton ACT受験者比率 50%以上(正確にはわからない)(North Fulton 2779名) North Fultonスコア 22.5 (2009年スコア 22.2より0.3アップ) ジョージア州平均 20.7 (2009年 同) ジョージア州順位 34位/50州 (2009年 40位) 全米平均 21.0 (2009年 同) ちなみに満点は4教科で36点である。SATの3教科に対して科学が追加される。 ここでも、受験者数は増え、受験比率も上がっているが、SATとは違い、全国順位では上がっているようだ。5年前と比べると受験者数はほぼ倍になっている、という。 州全体でも、その受験比率は2010年で44%になっている。しかし、やはりSATの74%に比べるとまだ少ない。 そして高校別に見ると、だいたいSATの順位とACTの順位はMiltonとChattahoocheeが逆転しているが、だいたい同じである。 一般に、ACTのスコア25点は、SATスコアの1740に相当する、と言われているが、受験科目がACTの方が科学(Science)の分、一教科多いので、単純な比較はできない。 さて、これらがジョージア州、あるいはメトロアトランタの高校の水準であるが、ちなみに、ジョージア州の代表的な大学であるジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)とジョージア州立大学(Unversity of Georgia)の2010年度入学者のレベルを参考に上げておく。 どの大学でもそうだが、上位と下位はそれぞれ学業成績以外のいろいろな要素がからむので、ここに上げるのは、入学者の中間層50%の数字である。 ジョージア工科大学 ジョージア州立大学 GPA 3.72~4.06(*) 3.68~4.0 SAT 1900~2130 1800~2080 ACT 27~32 27~31 (*)注:ジョージア工科大学のGPAは、APコース(大学クラスの内容のクラス)の場合、実際の成績に対して、0.5ポイントがプラスされるため、本来は4.0が満点なのだが、この場合は理論上の最高は4.5になる。 これらは、基本的な成績の指標であり、実際の大学入学では学業以外の活動や、必ず書くEssay(論文)なども加味されて判断されるので、成績だけでは判断できないが、中間層がこの数字であることから、一つの目安にはなる。 この二つの大学の数字を見ると、先に述べて州平均や、County平均はもちろん、最優秀高校の平均もはるかに上回っているので、この二つはやはりジョージア州の公立大学ではTOPランクの大学となる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.09.24 11:55:24
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