カテゴリ:証券業
野村ホールディングス(株)【東証1部:8604】の渡部賢一社長兼CEO(最高経営責任者)は、ロイターとのインタビューで、米国での一連の信用収縮をきっかけにJPモルガン・チェースがベアー・スターンズを買収することになるなど、金融の大型再編の動きに関連し「再編にかかわる気はない」と述べた。 今後1年程度は、戦略的に補強が必要な部分への人材や経営資源の再配分といった基盤づくりを急ぎ、大型の箱モノの買収に動くことには消極的な考えを示した。 また、サブプライム(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題をきっかけにした信用収縮問題の影響で、世界的に金融機関の収益に悪影響が出るとし、今後、損失を膨らます金融機関が出ても不思議ではないとの見方を示した。 インタビューの主な内容は以下の通り。 ──サブプライム問題の影響はどう尾をひくとみるか。 「いまは金融産業全体が、世界的に縮まっていく過程にある。これまではレバレッジをかけすぎたが、振り子が振れるのと同じように縮小していくと思う。金融の収益は今後この1年くらいは減るだろう。サブプライムや一連の信用収縮の影響を受けない方が問題だ。金融界の業績が回復するのは早くて来年になるのではないか。野村に限らず世界中で共通する話だろう。その間、金融機関の再編は続くとみる」 ──野村は再編にどうかかわるか。 「我々は今持っている経営資源をもう一回見直す。何が強みで何が弱いかをチェックする。欧米の金融機関も全般に業績が低迷し、そういう意味で我々にも考える余裕ができたのはかえって良かった。ただ再編に関わる気はない。今は変に拡張ではなく、持っている経営資源を有効的に動けるような仕組みを作ることが大事だと認識している」 ──再編に関わらずに基盤固めをするということか。 「基盤固めだ。どこか投資(買収)するものがあるかといえば、人材への投資はいっぱいあるだろう。欧米の(金融機関の人員削減を背景に)人材マーケットに人は溢れている。従って人材は採用する可能性はあるが、箱の買収ではない」 ──人員の増強などはアジアと欧州が中心か。 「米国は金融加工貿易国で、ここを無視することは出来ない。証券化ビジネスなどを含め、いま米国で野村が払わなければならないプレミアムは減っているため、人は採用したいと思う。ただ、ポジションの管理はロンドンに集約していく」 ──東証が第三者割当についてルール整備に乗り出す。日本の資本市場のためにどのような方向性で議論が進むべきか。 「日本が金融立国になるために、各参加者は規律を持つべきだ。第三者割当に関して、上場会社は規律をもってやっていくべきなのに、いかがなものかと言われるものがある。東証が、自主規制機関の一環としてある一定のガイドラインを出すのは仕方ないことだろう。本当はしっかりした主体がそれぞれあり、皆が大人であればいいが、そうでない」 ──ニューヨーク証券取引所は、20%以上の希薄化をともなうエクイティファイナンスに株主総会の承認が必要とのルールを課している。 「(一律のルールは)あまり好ましくない。会社法で決める話か、取引所が決めるべきかはっきりは分からないが、会社法よりは取引所ルール(で整備するの)がいいのではないか」 ──先般決めた足利銀行(栃木県)への投資は、野村としてどうかかわるか。 「野村がコマーシャルバンクも証券も両方、金融コングロマリットという形でやるという気は全くない。むしろ、地銀は地元経済のために重要な役割を担っているため、その再生のために我々の持つ有価証券に関するノウハウなどをつぎ込む。うまく行けば、栃木県経済や北関東全体に貢献できるだろう」 ──将来的には足利をプラットフォームとして、地銀再編に野村が参画するのか。 「投資銀行としてアドバイザーの役割を果たすことはあるかもしれない。エグジットとしてはIPO(株式の新規公開)を考えているものの、ストラテジックバイヤーに販売することもあるかもしれない。(それ以前に)バリューアップしなければならない。そのために野村グループとして十分アシストできることはある」 ロイター - 2008年4月1日 関連ページ 野村ホールディングス(株)【東証1部:8604】- 野村に必要なのは若い力 - 2008年03月14日 関連サイト 野村ホールディングス | 会社概要 - 野村グループ 野村ホールディングス - Wikipedia 株価 Yahoo!ファイナンス - 8604.t 8604 野村ホールディングス(株) 野村 NIKKEI NET 株価サーチ 株価 8604:野村ホールディングス - Infoseek マネー 株価ジャッジ | 野村ホールディングス (8604) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年04月05日 07時54分48秒
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