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2011年12月13日
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カテゴリ:小説すばる2011年
小説すばる2011年12月号

夜果つるところ 最終話 恩田陸

私は山中にある娼館「墜月荘」で育った。
そこには三人の「母」がいた。
私を生んだ「実の母」の和江は正気を失っており、
日がな一日鳥籠を見て暮らしている。
「育ての母」の英子は、毎日のように
勉強を教えてくれたが、時折あやつり人形の糸が
切れたようになった。そして「名義上の母」の文子は、
館のしきたりを教えてくれたが、表情に乏しい女性だった。
私は誰に対しても距離を感じ、自分の母親だとは思えなかった。

(小説すばる12月号より転載)

娼館・墜月荘の不思議な話も最終話です。

「私」が墜月荘で見聞きした話が主で、
舞台もほとんど墜月荘のみという、
限定された空間で展開する話でした。

全てが夢のような話でしたね。
どちらかというと悪夢の方ですが。

最終回は、あっと驚く秘密が二つ明かされます。
なるほど、このような背景があったのですね。
これを知ると最初から読み返したくなります。

怖いのだけれども、先が見たいような、
不思議な感覚の小説でした。
ホラーでもないし、スリラーでもないし、
なんと言えばよいのか分かりません・・・

万人受けするとは思えませんが、
読むと迫力に圧倒されることは間違いないです。


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最終更新日  2011年12月13日 23時56分38秒
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