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2023.11.29
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山南は茶を啜る。

この穏やかで堅実な山南が、人斬り集団で副長をやっているということにも驚いていた。

 

それ程までに、近藤という男は人を惹きつける力があるという事か。

 

確かに第一印象としては、大らかな大樹といったものだ。しかし、根を張りすぎて周りを枯らしてしまうのか、それとも小動物達の寄木となるのかは近藤の器次第である。

 

 

「いや、​經血過多 youtube​ 正直まだ迷っていますよ。いくら京へ来たかったと云っても、思想が大きく異なっていては話しになりませんからね」

 

 

伊東はそう言うと、物含み気な視線を山南へ向けた。

今後の己の立場をどう築くかは最初が肝心である。"こちらから頭を下げるのではなく、あちらから居てくれと請われる"ように仕向けなくてはならない。

 

そうしなければ、全てを捨てて着いてきてくれた盟友や門人に顔が立たない。

そのように伊東は考えていた。「そうですか。ところで、貴方の思想とは?」

 

山南の質問に、伊東は待ってましたと言わんばかりに得意気な表情を浮かべた。

 

「一言で言えば一和同心、ですよ」

 

首を傾げた山南をよそに、伊東は言葉を続ける。

 

 

「この日ノ本が心をひとつにして和する、という意味です。そしては昔から尊皇攘夷派。主上を中心とした政権展開と、攘夷が好ましいと考えます」

 

 

成程、と思った。そして伊東の言う一和同心とは、前に桜司郎が言っていた長州と幕府が手を組むという話しに似ているとも感じる。

 

だが、これだけ聞くとまるで新撰組とは方向性が異なる。強いていうなれば、攘夷だけが共通点ではあるが、残念ながら新撰組は攘夷を実行出来ていなかった。

 

今やっている事は京の街の治安維持と、その一環で不逞浪士の取り締まり、そして会津藩の求めに応じた出動だけだ。

 

 

しかも、松本法眼との交流により、近藤は異国の技術に僅かな興味を示し始めている。

攘夷という根本的な考えは変わらなかったようだが、土方に言わせれば攘夷のために異国の文化を学び取り入れるのは本末転倒ではないかとうことだ。

 

 

思えば、新撰組の幹部でも思想の不一致は昔から起こっている。近藤や土方は佐幕攘夷派、永倉や斎藤、藤堂、原田、山南らは尊皇攘夷派だ。ちなみに井上と沖田にはこれといった思想は無く近藤に付き従っている。

 

それでも成り立っているのは、

に江戸での付き合いの暖かさ、近藤や土方との友情の為だ。

 

だが、それも最近は揺らいで来ている気配を感じている。近藤は驕り高ぶる様子が見られ、土方は規律の為に鬼となっていた。

 

 

「一和同心。素敵ですね、前に桜司郎君も似たような事を申していましたよ。ですが、新撰組は色々な思想が入り乱れておりましてね。純粋な尊皇攘夷の隊ではないのですよ」

 

 

桜司郎という名前が出てきたことに伊東は関心を更に高める。

 

「それは藤堂君からも聞いております。人が多く集う以上、思想が異なるのは仕方ありますまい。深く知る機会が無かった者もいることでしょう」

 

 

元々、だったが衣食住を求めて転がり込んだ者や、お家が潰されたため禄を求めて入隊した者も少なくなかった。

だが、それらは全て剣の腕が立っている。

纏めて勤皇思想にしてしまえば、何よりも強力な味方となるのではないか。

それは酷く魅力的に思えた。

 

 

「それはそうですね。ですが、私は伊東君が隊に失望するのでは無いかと心配でもあります」

 

 

山南はその思惑に気付かずに、純粋に伊東の身を案じる。

それを見た伊東は目を細め、友好的な笑みを浮かべた。





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最終更新日  2023.11.29 23:23:38
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