有名な小説であるが、どうもよくわからなかった。
翻訳がよくないのか、時代背景や場所がかけ離れすぎて、理解しにくいのか…。
主人公と二人の女性の恋物語なのだが、登場人物の心理がさっぱりわからない。
二人の女性は清純な令嬢と才色兼備の女官なのだが、女官はなんと主人公の叔母にあたり、しかも、主人公が生まれた時にはすでに成人していた。10歳以上も違う自分の甥に恋する心理も想像をぜっするが、さらにわからないのは令嬢の方…。
許されざる恋であり、主人公の安寧を祈ることとひきかえに、主人公を絶対に「見ない」という誓いを聖母にたてる。「見ない」という誓いなので、主人公に会うのは暗闇の中で、しかも、主人公の子供まで産む。
普通に考えたら「見ない」というのは「会わない」ということで、暗闇の中で会うのはよいなんていう解釈はありえない。
令嬢は物語の途中で金持ちの侯爵と結婚し、赤ん坊は夫の子として育てられているし、主人公は聖職者として、多くの人の尊敬を集めている。
こういうのってとんでもない話で、これは宗教の偽善を訴えた小説かといえば、さにあらず、主人公は信仰心篤い人物として描かれている。
となると、さっぱりわからない。
とはいえ、文庫本で上下二冊ある長編をなんとか読んだ。
本当につまらない本なら中途で投げ出しただろう。
わからない、理解できない…と思いつつ、やはりなにか惹きつけるものがあるから最後まで読んだのだろう。