七詩さんのHP

桜前線真っただ中の関東平野を自動車で旅した。
古河総合公園の桃と桜を目的地として、それまでの間にも桜の見どころがあれば車を止めて視ることにした。自動車は電車とちがいこうした気ままができるからよい。
あちこちに満開の桜があり、まさにここを桜前線が通過中というのが実感できる。
さくらの語源は一説によると神の座所という意味だという。
たしかに一瞬で短い期間に華やかな花を咲かせる桜は何か目に見えないものが樹に宿ったように思えても不思議ではない。
そこここに見事な桜の木や桜並木があり、中には利根町のように桜まつりをやっているところもあった。
なぜ、東京から少し自動車で足を延ばせばもっと静かに桜を見られるところがいくらでもあるのに、花見と言えば皆人の集まるところに行くのだろう。上野公園や目黒川の桜の賑わいを思いだし、こんなことを思った。たぶん「桜を見ること」と「花見をすること」とは違う。「花見」というのは一種のイベントで、単に桜を見るのではなく、そのイベントに参加することに意味があるということなのだろう。だから花見の名所は賑わいが賑わいをよぶという構造になる。
そしてまた最近では桜観光の外国人も多い。
それも単に桜を見るだけではなく、花見の宴（シートの上の宴会）の希望もあるという。
ハナミもいずれは世界共有語になるのかも。
それはさておき、最終目的地の古河についた頃には日も暮れかけていた。
それでも、オレンジに染まった空を背景とした花桃と桜の饗宴は素晴らしく、公園の小山の上からは熟柿のような夕陽が沈んでいくのが見えた。