昨日テレビをみていたら明智光秀は死んだときにはすでに65歳以上の老人で、しかも死の直前は認知症を患っていたという番組をやっていた。NHKで大河ドラマを盛り上げるために他の番組で同じ時代や人物を扱うというのは、よくあるけれど、これはいくらなんでもイメージダウンではないか。せっかく大河ドラマ主役を射止めた俳優も、認知症老人の役じゃいやだといいそうである。
こうした歴史上の人物の年齢には諸説があるのはよくあることだが、老人というのはいくらなんでもないだろう。現代では元気な老人が増えたと言ったって、人間のDNA自体が変わったわけではない。様々な医療技術の進歩のおかげで元気でいられるのではないか。例えば、現代風の歯科治療がなければ、50歳くらいまでにかなりの歯が抜けているという人は多いだろうし、眼鏡がなければ、普通に暮らせないという人も珍しくない。眼鏡も補聴器もない時代に、老人が自ら合戦を指揮して、山の中をしばらく敗走したなんて…とても無理ではないか。
番組では、さらに明智光秀の嗅覚がきかなくなったことを示唆するような逸話からレヴィ型認知症ではないかともいう。しかし、これも変だ。徳川家康の接待を信長に命じられたところ、古くなって臭いがでたものを出して、叱責されたというが、いくらなんでも自身で料理をしたわけではない。この挿話だけで認知症を即断するのは無理である。
それに、人生わずか50年という時代に、今でいう老人が前面にでてきたら、必ずどっかに記録されるはずだし、肖像画もそれらしく描かれるだろう。明智光秀が老齢で認知症というのは説としてはおやと思わせるが、とても実際とは思えない。
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