「書いてはいけない」(森永卓郎)を読んだ。ジャニーズのようにマスコミに強大な影響力を持つ者に対しては批判できない、財務省のような強大な勢力に反する言論は表に出ない…というのはおそらく実態だろう。ただ日航ジャンボ機の事故の真相についての記述は信じがたいもので、それだけで、大問題になりうる。戦後まもない時期に起きた闇の事件と同様、今の日本にも怖くて触れられないものがあるのかもしれない。さっと読める本だし、内容の強烈さは一読の価値はある。
今のマスコミは書けないこと言えないことが沢山ある。そう思うとテレビの報道番組のコメンテーターのつまらなさもむべなるかなである。それなりの肩書の知的美女イケメンをならべて、チャンネルを回されない程度の時間でコメントを求めるのだが、おおくはもっともらしくありきたりなものにとどまっている。そりゃそうだろう。踏み越えて批判してはいけないものを批判し、触れてはいけないことに触れるとあっという間に降板する。あのショーンKでも十分務まる。
マスコミについては、強力なスポンサー企業に対する配慮、情報源であり権力機関である政府に対する配慮、マスコミに影響力を持つ芸能事務所に対する配慮など、さまざまな配慮の中で報道を行なっている。特に政権の姿勢がマスコミに対してにらみをきかせるものであれば、報道できる範囲はますますせまくなる。
日本の報道が委縮しているうちに、外国からの報道や批判で問題に火がつくなんてのは、日本の報道にとっては大変な不名誉だと思うのだが、そうした反省ははたしてあるのだろうか。そういえば、ある日本企業の現地子会社の提供したシステムに欠陥があり、700人以上の郵便局長が冤罪で訴追されるなんて事件がさる国であったようだが、これについても、日本では報道が少なかったが、これもスポンサー企業に対する配慮なのだろうなと思う。