米国大統領選をニュースでみているが、日本の感覚では異様に見えることが多い。
まず、セレブといわれる著名な芸能人達が自身の応援する候補を明確にし、実際にそのための活動を行っていること。次には、日本で報道されるマスコミのほとんどが一方の候補者に肩入れしているように見えること。さらに、これが最も異様なのだが、マスコミが総出、セレブが総出で応援しているような候補がどうやら敗北しそうなこと。
米国の事情には詳しくないし外国滞在経験もないのだが、よくいわれる人種とか宗教による分断の他に、もう一つの分断があるように思えてならない。つまり、高学歴インテリとそれ以外の大衆との間の分断である。日本にいてメディアの報道ばかりみていると、聞こえてくるのが高学歴インテリの意見である。だから事前の報道の印象と実際の結果の落差にとまどう。インテリ以外の大衆といっても、米国のような強固な二大政党では、いわゆる左翼の出番はない。ただ左翼でなくとも、結局はインテリ以外の大衆をつかんだ政治勢力が急伸する。この点、トランプのように新規移民に厳しい政策をとり、偉大なアメリカの復活を唱える候補は強いのかもしれない。貧しい移民の流入によって職を奪われたり、待遇が低下したり、はては住んでいる地域の治安が悪くなって困るのは、その国にもとからいた貧困層である。そしてまた、能力主義と自己責任論の中で不本意な生活をしている人々は偉大な〇〇国民のような自分に自信を与えてくれるようなアイデンティティを求めるものである。