映画「碁盤斬り」を観て
映画「碁盤斬り」を観た。最初は藤沢周平の原作かと思ったが違った。しかし、凛とした武士、人情あふれる町人など、かなり藤沢作品の雰囲気に似ている。江戸時代に賭け碁がそんなにさかんに行われていたのだろうかとか、浪人が篆刻などでそう簡単に暮らせたのだろうかとか、いろいろと疑問はあるのだが、時代劇としてはなかなかの佳作だと思う。日本映画が外国で賞をとったというニュースも聞くが、こうした作品こそ外国に知られれば日本文化の理解の助けになるのではないか。ただ、難をいえば主人公は格好いいといえば恰好いいのだが、偏屈にしかみえず、いまいち心理がわかりにくい。碁盤を斬ったのは二度と碁を打たないという表現なのだが、なぜそうした決心をしたのかは様々に解釈できる。かっての仕官時代の行状についての迷いや旦那とのわだかまりなど、いろいろと考えられる。碁について全く知らなくても、映画を楽しむのには支障はない。また、映画の中にでてきた祭りの舞や吉原の狐舞などもなかなかの見もので、保存会があるのかと思い、エンドロールをみていたがそれらしいものはでてこなかった。過疎化がすすむとともに、全国のあちこちで祭りが消えているという。祭りが消えていくということは、その祭りにつきものの芸能もある。こうしたものについて、映像等で保存するという試みは必要なのかもしれない。もうすでに行われているのかもしれないけれども。