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テーマ:障害児の親として(1425)
カテゴリ:介護
知的障害者の暮らし…支援の輪 親が元気なうちに 知的障害のある子どもの親にとって、自分が死んだ後、 残された子どもの暮らしがどうなるのか、心配は尽きない。 親が元気なうちに、 安心して地域で暮らし続けられるよう備える取り組みを紹介する。 ダウン症で心臓病がある岡本真理さん(45)は、 横浜市内のマンションで母親の美知子さん(71)と2人で暮らす。 週2日、作業所で織物を織り、 日常で感じたことをつづった新聞 「マリタイムス」を2か月に1回発行している。 真理さんには3年前から、 成年後見制度に基づく保佐人が付いている。 小遣いの管理や福祉サービスの利用手続きなどを、 母親に代わって手伝ってもらうためだ。 美知子さんは 「私が元気なうちに、 娘を見守る人たちの輪を引き継いでくれる キーパーソンを決めておきたかった」 と打ち明ける。 保佐人を務めるのは、 後見業務を担う認定NPO法人「よこはま成年後見つばさ」(横浜市)。 所属する社会福祉士の根岸満恵さん(62)が担当し、 毎月1回、自宅を訪ねる。 知的障害者の支援期間は長いため、 個人ではなく法人が保佐人を務めることで、 担当者の交代や情報の蓄積で継続的に支えることができるメリットがある。 ■役割分担表を作成 美知子さんは、真理さんが生後8か月の時に夫と別れた。 特別支援学校の教員として働きながら、一人娘を育ててきた。 59歳で退職後、 「娘が一人になっても、楽しく暮らせるように準備をしなければ」 と考えるようになった。 しかし、どんな準備をすればよいのか分からず、 焦りばかりが募った。 障害者の母親仲間に不安を打ち明けると、 みな同じ思いだった。 その一人が、 重度の知的障害のある長男(32)を育ててきた根岸さんだった。 岡本さん親子は2012年4月から、 根岸さんを中心にNPO法人の支援を受け、 真理さんの将来の暮らしを考える検討会を毎月1回、自宅で開いた。 誰に何を手助けしてもらっているか書きだし、 将来は誰に担ってもらうのがよいか話し合い、 役割分担表を作った。 ホームヘルパーの利用調整など、 多岐にわたり母親に支えられている現実に、 真理さんは「母さんがいないと困る」と不安を口にしたという。 ■母親の負担も軽減 そんな中、 根岸さんから成年後見制度について繰り返し説明を受けた真理さんは、 次第に 「支援者が増えて、母の負担が減れば、長生きしてくれる」 と期待感を持つようになった。 15年6月、NPO法人を保佐人の候補として 横浜家庭裁判所に利用を申し立てた。 親族以外が後見人らに選ばれた場合、 選任後に初めて障害者本人に会うケースも多いが、 根岸さんは相談から申し立てまで3年に及ぶ検討会を通じ、 信頼関係を深めていた。 民生委員やボランティアなど支援者との顔合わせも重ねており、 「チームで真理さんの暮らしを支えたい」 と話す。 真理さんは今では、母親ではなく根岸さんを頼る場面も多い。 「タブレット端末を買いたい」 と相談を受けた根岸さんは、購入を手伝った。 真理さんは「頼りにしています」と照れくさそうに語る。 美知子さんの負担も減った。 週2回、真理さんを車で作業所に送迎していたが、 根岸さんが送迎サービスを利用できるように調整した。 美知子さんは 「娘の将来を一人で考えなくてもいい。 徐々に引き継いでいけるので、ホッとしている」 と話す。 <成年後見制度> 認知症や知的障害などで判断能力が不十分な人を支援するため、家庭裁判所が選んだ後見人らが、本人に代わって預貯金や不動産などの財産管理、福祉サービスの利用契約などを行う制度。本人や家族らが申し立て、家裁が本人の判断能力に応じて後見人、保佐人、補助人のいずれかを選任する。日常の買い物程度は一人でできるが、金銭の貸し借りなど重要な財産行為はできない場合に保佐人がつく。 親が元気なうちに、子どもがお金や暮らしに困らないように準備するための相談窓口(相談室)も広がりつつある。 とても有意義ですね。☄
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