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2014.01.27
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カテゴリ:昭和期・歴史小説

  『播磨灘物語』1~4・司馬遼太郎(講談社文庫)

 時々ふっと、この筆者の蘊蓄というかお説教というか、ご隠居話を聞きたくなる時があります。何と言っても博引旁証でいらっしゃる上に、語り口が何とも暖かみがあってとってもよろしい。例えばこんな感じ。

 ちょっと、筆を休めたい。
 二十年ばかり前、ふと思い立って、播州の三木という町に行ったことがある。
 三木というのは別所氏が亡んでのちは、城下町ではなくなったから、町並などもごく雑駁で、古城趾をとりまいて雑貨、洋品などを売る商店街があるのがめだつ程度だった。


 とか、

 信長というのは、大空に石を高く投げて高鳴りさせるような精神の響きを感じさせるところがあって、そのことは、かれが精神の重大な一点において理想のもちぬしであったことと無縁ではない。
 が、その現実的計算の面だけを見れば奸物としか言いようがない。


 二つめの文章のような表現は作品中至る所にあるのですが、よく考えてみると、こういった断定はいったいどうしたらできるんですかね。
 まー、今となっては誰も信長に実際に面会したことのある人はいないわけですから、様々な文献を読んだ後言ったもん勝ちみたいなところはありますわな。
 でも、私だったらとってもこう断定的には書けません。
 うーん、たぶん、学識に裏打ちされた自信なんでしょうかねー。

 ま、しかし、筆者のこんな蘊蓄話を読みたいだけならば、随筆集のたぐいは沢山出版されていますね。代表的なものは新潮文庫から『司馬遼太郎が考えたこと』というタイトルで15冊にまとまっています。
 この本もとっても面白いですが、さすがに5冊くらい読むとちょっと飽きます。(その代わり、その5冊は一気に読めます。)
 だから私は、3期くらいに分けて、間に1年ほどを2回挟んで読み切りました。

 さて冒頭の4冊の小説ですが、だいぶ前に一冊105円で買ってずっと読んでいなかったものであります。
 わたくし、兵庫県の生まれなもので、別に郷土意識の強い人間ではありませんが、なんとなく知った地名の小説作品は集めるともなく集まったりしています。

 話は飛びますが、大学時代、東北地方出身の友人から(もちろん酒でべろべろになった後の他愛ない話でありますが)、おまえは関西人だから関西がらみの文学を研究する義務があるみたいなことを言われまして、そもそも頭の作りがアバウトにできていた私は、なるほどとあっさり納得し、アルバイトでお金を貯めては『織田作之助全集』とか『武田麟太郎全集』とか『開高健作品集』とかを買ったのですが(西鶴の全集も買おうと思ったのですが、ちょっとビビッてやめました)、どの全集も完読できていません。

 というわけで、我が家には冒頭の小説があったのですが、今回それを読むに至ったのは、やはりNHKの大河ドラマのせいでしょうかねー。
 わたくしは人間が軽いわりにはテレビから影響を受けることはきわめて少なく、というよりそもそもほとんどテレビを見ませんので影響を受けようもないんですが、それでも今年の大河の主人公が黒田官兵衛であるくらいのことは存じ上げ、そしてついふらふらと『播磨灘物語』を手に取ったという顛末でございます。
 やはり、大河ドラマで取り上げられると、思わぬところに需要が生まれるものですねー。偉いものです。(といって今回の私においては、何ら経済活動に寄与はしていませんが。)
 
 さて、やっと内容についての報告でありますが、読みながら、あーそーだったよねー、と思い出したのですが、そして冒頭に書いた司馬じいさんのご隠居話についての感想とは少々矛盾するかも知れませんが、よーするに、まー、とっても長いお話ですわ。

 『坂の上の雲』を読んだ時も『龍馬が行く』を読んだ時も、『菜の花の沖』の時は特に強く感じたのですが、ちょっとながすぎません? という印象であります。
 一方で官兵衛の一生を描いたとすると、後半から終盤の分量バランスがとってもいびつであります。信長の死以降が極端に短く、秀吉が明智光秀を滅ぼして後は、わずか一章分で一気に書き上げています。(今数えてみたら全部で36章ありますから、そこは1/36の分量ですね。)

 これはなぜなんでしょうね。
 私の想像に余るんですが、やはり何かあるんでしょうね。
 きっと作品の必然性以外の何かがあるように思います。しかしそもそも大河歴史小説には、そんな性格があるのかも知れませんが。(ふっと頭に浮かんで、いやいやこれを明示してはいけないだろうと思ったのが時代劇の『水戸黄門』でありますが、……あ、書いてしまった。)


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Last updated  2014.01.27 12:58:19
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