■商品名:シャトー・ド・ラ・マルトロワ ブルゴーニュ・ルージュ [2007]750ml
■レビュアー:姉男
■レビュー内容
花の命は短くて~
なんて歌があるのかどうかは知りませんが
このワインは、一瞬の花火みたいなワイン。
素晴らしい瞬間があると思えば、すぐにサッとかくれんぼ。
筋肉質のたくましい青年かと思いきや、玉手箱で一瞬にしておじいさん。
とはいうものの、逆に、この生産者の丁寧な造り方に感心させられる赤。
造り手はブルゴーニュのシャサーニュ・モンラッシェ村(※1)の白ワインの名手「シャトー・ド・ラ・マルトロワ」。
白の特級・バタール・モンラッシェを始め、村の中央、自社シャトー前にある1級畑のモノポール(単独所有畑)「ラ・マルトロワ」などが有名なドメーヌ。
創業者のお孫さん(現代アート好きのジャン・ピエール・コルニュ氏)が栽培・醸造を担当してからの90年代以降は、内外で評価も高くなり、今やシャサーニュ・モンラッシェ村を代表する造り手の一人。
色男ジャン・ピエール・コルニュ氏
で、このヴィンテージは2007年。
2007年のブルゴーニュというのは、気候が不安定だったため、
生産者によってかなりのばらつきが出た年。
日射量の関係もあり、タンニン分がやや少なめで早飲みできる年、
また生産量は少なくなるものの、選果を厳しく、丁寧な抽出を行っている生産者であれば、
ブルゴーニュのピノ・ノワール種の特徴
「まろやかさと果実味となめらかなタンニン」
を持つ赤ワインが出来上がるのです
(当然、いいワインを造るのには、難しい年ほど丁寧さが求められるんです)。
まず、今飲むのは最高の状態だと思います。
色は、透明感のある濃いガーネット。エッジがやや薄めの色合い。粘性は中。
香りは、干しプラム、ブラックチェリージャム、干しかけの肉、毛皮、ジビエ、腐葉土、キノコ、ヨード、しおれたバラ、シナモンやアニスなどのスパイス、タバコ、鉱物っぽさ、タバコ、コーヒー、ポップコーン。
初秋の夜の森のような印象。
熟成香が出始めているが、まだ香水のような花の香り、ドライ過ぎない果実香もあり、料理を連想させる美味しそうで複雑な香り。
時間経過、温度変化でかなり香りが変わる。グラスに注いだ直後とグラスのまま30分放置したものは全く別物。
ブルゴーニュ・グラスに注ぎたては、果実香が甘く深く底から湧き上がってきて、甘味とスパイス香、熟成香とが一体化して実にいい香りだが、
時間が経つと、香りが茶色みを帯びて劣化が早い印象。
味わい:口あたりは滑らかでサラリとしてクール。ドライでミディアムボディ。
チェリー系のドライフルーツや梅の落ち着いた果実味。
タンニンは細かいが、やや口の中を乾かす豊富さが目立つ。
酸は豊富だがこなれて控えめな印象。飲み込んだあとに、梅カツオ系のうま味が広がる。
やや筋肉質の味わい。
ブルゴーニュグラスに替えてあげると、果実味が膨らみ、タンニンとのバランスがとれる。
このワインはブルゴーニュグラスで、
注いだらなるべく時間をおかないでグラスは飲みほすことをおススメします。
うっかり会話に夢中になり、グラスのまま飲まないで放っておくと、
途端にかぐわしい香りが消え失せてしまうので、美味しい食事とともに香りを嗅ぎながら、口に入れちゃってください
私が合わせたのは、ワカメ入りの鶏ダシ餃子スープ。にんにくは入れない餃子の中の豚の旨味と鶏ダシのうま味を吸ったワカメにピッタリ。
シイタケと豚ひき肉を少し甘めのショウガ醤油で炒め煮して、サラダ菜にくるんだものとも合いました。
グラスの中でちょっと落ちるのは早いけれど、
2007年というヴィンテージで、このクラスとしては、実に香り豊か。
ワインが玉手箱を開ける前にはとても素晴らしい香りなので、
くれぐれもグラスのまま時間をおかずに飲んであげてください。
コスパいいと感じるはず。
※1シャサーニュ・モンラッシェ村~フランス・ブルゴーニュ地方のコート・ド・ボーヌ地区にある村。
「ひざまづいて飲め!」という言葉とともに有名な特級白ワイン「モンラッシェ」や、
同じく特級畑のバタール・モンラッシェ、クリオ・バタールモンラッシェが村内にあることから、白ワインばかりが造られていると思われがちですが、
実は栽培面積でいえば、約4割近くは赤ワイン用のブドウが植えられている村(生産量は赤白半々位)。
赤も結構多いんです。
なかなかAOC「シャサーニュ・モンラッシュ」という村名での赤ワインが市場に出回らないのは、村名がAOC「コート・ド・ボーヌ・ヴィラージュ」として格下げされて出回っているものも少なくないため、という話もよく聞きます。
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