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2022.02.26
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カテゴリ:書評

魔王使いの最強支配 1[本/雑誌] (HJ文庫) / 空埜一樹/著

昨今のライトノベルは、こんな感じのが受ける! 売り手の都合や雰囲気によってパターン化というか、もうこれは一種の時代劇みたいなものだよなあと感じる。水戸黄門しかり、遠山の金さんに暴れん坊将軍、つまりは、偉い人が身分を隠して悪い奴をチャンバラでとっちめてお裁きをする、と。勧善懲悪かつチャンバラの立ち回りに人情めいた話に時々ものすごく薄く引き伸ばしたお色気要素で、大衆は気持ちよく視聴して、すっきりとした視聴後感を得ることができる。これは一つのコンテンツ商売の仕組みとしてものすごくよく出来ていて、作る方もある種のテンプレートにキャラクターや条件を流し込んでいくだけで作れてしまうし、見る方も、良し悪しはあれど裏切られないから安心して視聴することができる。WinWinの良好な関係を作り上げていくことができる。だからこそ、そのテンプレートの原型となったオリジナルと呼ぶべきものを最初に世に出した編集者であったり出版社、もちろん作者は、それはそれは偉大なのである。少し古い作品と今では言われてしまうかもしれないけれど「涼宮ハルヒ」シリーズなんかは口語体文学とライトノベルを見事に融合させ、以降数年間、アフターハルヒと言わんばかりに同じような口語ラノベが大量生産、大量消費された。主人公が実際に口に出す言葉は標準的、一般的の枠組みを超えないのだけれど内心ではものすごく雄弁で、かつ文学的で詩想すら感じられる。「ライ麦畑でつかまえて」なんかを思い出す人もいたかもしれない。
 少し話が逸れた。ここ最近のライトノベルの主要なテンプレートは異世界転生・転移ものが圧倒的なのだろうが、その中でも転スラ等に見られるような最強主人公系が手堅く人気のようだ。努力して苦労して力を得ていく主人公モノも数は出ているが、個人的感想を言えば、このパターンは少々まどろっこしく感じる。だって、最後には主人公が笑うことになるんでしょう? と。これは主には作者の表現力やドラマ展開の力がテンプレートの枠組みを守る程度の水準から出ていない、ということなのだろう。
 今回の書評のネタにしている「魔王使いの最強支配」の話を少しもしていないのは、はっきり言ってあまり面白くなかったから、である。本作のテンプレートはパーティ追放モノで、この系統は主人公が追放されたパーティにリベンジを果たしていくパターンと、本人は天然、能天気で「じゃあ好き勝手しますね」とばかりに動き始めるパターン。いずれにしても途中で美少女に出会ったりする。本作は魔物使いなる主人公が一定の条件を満たして魔族の大親分である魔王を使役する、というのがストーリーの軸になっているが、魔王の口調から何から、なんとも拭えない既視感、テンプレ感である。まさに時代劇的というか、お決まりのパターンで、使役される魔王は少女の風態で、その割にはおっぱいが大きくて、「わらわは〜」とか「何とかじゃ!」的な口調で話す。パーティ追放、能天気タイプ、出会う女性は少女で魔王......なんて入力したらインスタントに出来上がってきてしまいそうな作り。これではダメですね。期待を裏切らない、ということにおいてはある意味満点ではあると思うのだけれど。

 特に調べてはいませんが筆者はおそらく、まだお若い方で、かなりの量の本を読んでいる方だと思う。地の文なんかはものすごく丁寧だし、比喩表現もラノベにしては多彩で悪くない。もしかしたら小説の書き方、作法的な勉強もされておられるのかもしれない。だが残念なことに本作においてはそれが逆に没個性的というか、地の文の丁寧な描写に読み進める手がひっかかるかと思えば会話を含めたドラマの進みがあまりにもスッカスカで、不器用者のスキップのようである。
 テンプレートの中で本作特有の何かを、ということには結構腐心している様子であるが本作では残念がらそれには完全に失敗している。「魔王をテイムする」という発想は悪くないが、意外性はなし。パーティから主人公を追放する傲慢な勇者はありきたり。幼馴染のパーティ内ヒロインが主人公サイドにつく、というのは良いですがその後の町ブラは完全に無駄シーン。メインテーマは融和であったり偏見への反対であったり、なのだろうがラノベで扱う題材としてはかえってテンプレを枠組みごと強引に崩しにいくような重めのテーマで逆効果。もっと思い切って少女魔王と主人公の珍道中に全振りしてしまった方がかえってテンプレの中での意外性の面では良かったのではないか。いずれにしても取り組みが中途半端である。主人公を追い出す傲慢な勇者も雑魚感がすごくてその方面のドラマもどうにも薄っぺらくてこの点もマイナスである。

展開...2/20
キャラクター...4/20
設定...5/20
意外性...1/20
表現、語彙...10/20

22/100





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最終更新日  2022.02.26 08:37:09
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