カテゴリ:音楽
久しぶりにオーケストラの生演奏を聴いた。
府中の森芸術劇場どりーむホール。 指揮はマエストロ秋山和慶、演奏は東京交響楽団。 エルガーの行進曲「威風堂々」第一番に始まり、メインはホルストの組曲「惑星」。 「宇宙の神秘とインスピレーション」なんていう副題がついていてそそられる。 親しみやすいプログラムだったからか、 2000人入る大きなホールが9割方埋まっていて驚いた。結構お客さん来るんだ。。 日本のオーケストラもがんばってるなあ。 日曜日の午後という日程も好都合だし、 さらに今日のうららかな上天気も幸いしたのだろう。 小学生を連れた家族連れも多かった。 いいことだなー 息子達にももっと聴かせてやりたい。 府中?遠い~と思ったが、新宿から京王線で30分ぐらいで来れる。 東府中駅からしばらく歩くと、立派なホールと美術館のある広い公園である。 「府中芸術の森」か。こういう施設が近所にあるといいだろうな。。 ホールの前の広場では、ちょうどアートマーケットを開催中で賑わっていた。 早く着いたので覗いてみたら、ピピッと心魅かれたアクセサリー屋さんがあった。 クリスタルのカットが美しい三日月のペンダントトップ。今の気分にぴったりだ。 安かったので衝動買い! 幸先良くワクワクしてくる。 今日のプログラムは、全てイギリスの作曲家の作品で、大英帝国の栄光を偲ばせる。 また、田園風景を舞台にした美しいイギリス映画を髣髴とさせるところもあり、 惑星の最後のほうを改めて聴くと、ハリー・ポッターの映画のようだった。 いや、逆だ。今日聴いた作品はみな20世紀の始めに書かれているので、 のちの映画やポピュラー音楽がこの辺の影響を受けているということだろう。 それと同じく、今日聴きに来た小学生達が誤解しそうなのが、 「あ!これ『あたしンち』のエンディングの歌だー」とか、 「あ、これ平原綾香のジュピターじゃん!」とかね。 いや、ちがうんですよ。こっちが本家なの。あとからカバーされてるの。 ま、それだけ親しみやすいメロディーってことですね。 威風堂々の中間部のトリオについて、時のイギリス国王エドワード7世は、 「あなたが作曲したこのメロディは、やがて世界中に広がるでしょう」 と述べたそうだ。本当にそうなっているね♪ 親しみやすいメロディというのは、人類普遍の法則の発見のようなものだと思う。 だって、イギリスの作曲家が作ったこんなにイギリス的な作品を BBCプロムスで熱狂的に大合唱する愛国的なイギリス人だけでなく、 日本人である私達もやっぱり「いい曲だなあ」と思うのだから。 大英帝国を賛美する気などさらさらないのに、なぜか感動するのだ。 不思議と言えば不思議。 2曲目のエルガー作曲チェロコンチェルトは初めて聴いた。なかなか渋い曲だ。 冒頭からソリスト長谷川陽子さんのチェロが号泣する。 エルガー最後の傑作で、この翌年愛する妻アリスが亡くなった後は、 もはや大曲を書くことができなかったという。 「最後の美しい夏の訪れを織り込みながら、愛するものが失われていくことへの 悲しみの予感に満ちた音楽を紡ぎ出していく」 終始、チェロのソロは物悲しくむせび泣きつつ、低弦から高弦まで縦横無尽に往復し、 かなり速いパッセージが続く部分もある。相当な難曲と思われた。 なので、途中のあたりは一度ではなかなか把握できない曲想だったが、 最後は冒頭と同じメロディーのフォルテの号泣で終わった。 やはり一番よかったのは「惑星」だ。 円熟のマエストロの棒の下、一糸乱れぬ正確さ。 年に100回以上の本番をこなすプロオケの「仕事」だし、 東京交響楽団を生で聴くのは初めてなので何とも言えないが、 少なくとも今日の3曲の中ではもっとも気迫のこもったいい演奏だった。 ダダダダンダン ダダダン ダダダダンダン ダダダン という火星の勇壮な戦いのリズム。 金管楽器が大音響でメロディーを吹き鳴らせば、 大きなドラがゴワ~~~~~ンと鳴り響く。 ああ、あのドラ思いっきり叩きたいなあああ。 昔、高校のブラスバンドや学生オケで打楽器を叩いていた血が騒ぐ。 ホルストは、早くから神秘的なものに関心を寄せていたらしい。 プログラムの解説によると、サンスクリット文学を自ら英訳し、 それをもとに作品を作る中で、1913年、友人たちを通して占星術を知った。 その翌年から3年かけて作られたこの組曲は、 占星術的な各惑星の意味づけに着想を得つつ、もっと自由に、 ホルスト自身のイメージする宇宙を音によって創造したものである。 喜びをもたらす星、木星。やはり人気が高いだけの力のある曲だ。 威風堂々のトリオと同じく、これも普遍的メロディーの一つと言えそう。 この宇宙に生まれてこんな音楽を聴けてよかった!と単純に感動してしまう。 無条件な幸福感に包まれて高揚する。 火星、金星、水星、木星、土星、天王星、海王星。 がらりと雰囲気の違う7つの曲は、 それぞれの惑星のイメージを表現していると同時に、 この宇宙で永遠に繰り広げられる生と死のドラマのさまざまな有り様を 惑星に託して表現しているようにも思えるのだった。 海王星のラストでは、ふいに見えないところから声が降りてくる。 美しいハーモニーなのか不協和音なのか定かでない微妙な女声合唱。 歌詞はなく、どうやって歌っているのかわからないaaaaaaという不思議な声が重なり合う。 はるか彼方の星々が交信している音かもしれない。 ふと目がおかしくなったのかと思った。だんだん見えなくなってくる。 ステージがだんだん暗くなり、青い光の中に沈んで行く。 天国も地獄もない。あるのは無限の宇宙だけ。 最後は声だけが残り、永遠の彼方へ吸い込まれていった・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年03月10日 09時07分01秒
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