カテゴリ:連載小説
私はまた、別の飲み会に行った。 今日は新しいぬいぐるみを見つけることが出来るかしら。なんて思いながら、私はいつもより少し浮かれていた。 そしてまた、飲み会でたまたま隣に座った男と、それなりに意気投合して、そして二次会が終わったところで、その男が私を誘ってきた。 私は、待っていましたとばかりにその男の誘いに乗った。いつものように、ただぬくもりを求めて、私は男についていった。 男の部屋に入ったとたん、男が私を抱きしめた。私は哺乳類のぬくもりを感じる。 しかし、私はそのぬくもりに違和感を感じていた。 久しぶりに別の男の人に抱きしめられたせいだろうか。それならば、まあ、そのうち慣れるだろうと思った。 しかし、そんな私の考えは間違っていた。その男が私にキスをしようとした時、私は思わず男を突き放してしまった。 私は、明らかな嫌悪感を抱いていた。急に突き放されて呆気に取られている男を置いて、私は逃げるように男の部屋を出た。 なぜだろう、こんな嫌悪感を抱くなんて。前までならきっと何でも無かったのだろうけれど、今日始めて会った男とキスすることが嫌で嫌で仕方がなかった。 男からキスされそうになった時、私の頭の中にあなたが現れた。私を愛していると言った時の、あなたの優しい表情が。 どうしてだろう。あなただって、たまたま隣に座った男だったのに。そのはずなのに、私にとって、あなたはたまたま隣に座っただけでは無くなっていた。 あなたと知り合ってからのいろいろな事が、湧き上がるように次々と思い起こされた。 そして、次から次から思い出すあなたの言葉や仕草を、私はとても愛しく感じていることに気が付いた。 こんなことに今さら気がついても仕方ないのに。 私たちは、たまたま隣に座っただけの関係。だから、私は、深入りし過ぎないように自分から壁を作っていたのだ。 そのせいで、あなたと一緒にいる時には、これほどあなたを好きだということに気がつかなかった。 もしも、もっと素直に自分の気持ちに気づいていたなら・・・。私は、そんな強い後悔の思いに苦しめられた。 苦しんで苦しんで、そして私は、あなたを思って泣きながら眠った。 ・・・・・・夢を見た。 私は、あなたと天国にいる夢を見た。 真っ暗で周りには何も見えない。けれど、私の目の前にはあなたが居た。 あなたと見つめ合っているだけで、私はあなたのぬくもりを感じていた。 そこはとても暖かく、幸せだった。 私は、あなたに触れようとして手を伸ばした。 ・・そこで、私は目を覚ました。 私は、目の前にある薄暗い天井を見つめながら、いつまでも泣きつづけた。 終わり お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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