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2005年03月04日
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カテゴリ:連載小説

 私はまた、別の飲み会に行った。
 今日は新しいぬいぐるみを見つけることが出来るかしら。なんて思いながら、私はいつもより少し浮かれていた。

 そしてまた、飲み会でたまたま隣に座った男と、それなりに意気投合して、そして二次会が終わったところで、その男が私を誘ってきた。
 私は、待っていましたとばかりにその男の誘いに乗った。いつものように、ただぬくもりを求めて、私は男についていった。

 男の部屋に入ったとたん、男が私を抱きしめた。私は哺乳類のぬくもりを感じる。

 しかし、私はそのぬくもりに違和感を感じていた。

 久しぶりに別の男の人に抱きしめられたせいだろうか。それならば、まあ、そのうち慣れるだろうと思った。
 しかし、そんな私の考えは間違っていた。その男が私にキスをしようとした時、私は思わず男を突き放してしまった。
 私は、明らかな嫌悪感を抱いていた。急に突き放されて呆気に取られている男を置いて、私は逃げるように男の部屋を出た。

 なぜだろう、こんな嫌悪感を抱くなんて。前までならきっと何でも無かったのだろうけれど、今日始めて会った男とキスすることが嫌で嫌で仕方がなかった。

 男からキスされそうになった時、私の頭の中にあなたが現れた。私を愛していると言った時の、あなたの優しい表情が。

 どうしてだろう。あなただって、たまたま隣に座った男だったのに。そのはずなのに、私にとって、あなたはたまたま隣に座っただけでは無くなっていた。
 あなたと知り合ってからのいろいろな事が、湧き上がるように次々と思い起こされた。

 そして、次から次から思い出すあなたの言葉や仕草を、私はとても愛しく感じていることに気が付いた。

 こんなことに今さら気がついても仕方ないのに。

 私たちは、たまたま隣に座っただけの関係。だから、私は、深入りし過ぎないように自分から壁を作っていたのだ。
 そのせいで、あなたと一緒にいる時には、これほどあなたを好きだということに気がつかなかった。

 もしも、もっと素直に自分の気持ちに気づいていたなら・・・。私は、そんな強い後悔の思いに苦しめられた。
 苦しんで苦しんで、そして私は、あなたを思って泣きながら眠った。


 ・・・・・・夢を見た。
 私は、あなたと天国にいる夢を見た。

 真っ暗で周りには何も見えない。けれど、私の目の前にはあなたが居た。

 あなたと見つめ合っているだけで、私はあなたのぬくもりを感じていた。
 そこはとても暖かく、幸せだった。

 私は、あなたに触れようとして手を伸ばした。

 ・・そこで、私は目を覚ました。
 私は、目の前にある薄暗い天井を見つめながら、いつまでも泣きつづけた。



終わり





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最終更新日  2005年03月04日 14時21分44秒
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