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2005年03月09日
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カテゴリ:連載小説
<2>

 翔太の父親は世界的に有名なロボット学者で、世界中を飛び回っている。母親も学者をしていてほとんど家にはいない。

 そのため家に一人で居ることが多い翔太のために、父親は自分が作ったアリサというロボットを翔太の所に送った。
 学習能力があり、自分で考えて行動できる、“完全自律思考型”ロボットだ。

 最近では、自律思考型ロボットも多くなってきているが、一般家庭でもそのようなロボットを持てるまでには至っていない。
 そのため翔太の父親は、自分が開発したアリサを一般家庭用の家事ロボットとして実用化させることを目指して研究を行っている。今は、ほぼ完成に近づいているアリサを試用し、そのデータを取るという段階である。
 翔太の家で動いているアリサのデータも、毎日父親の研究所に転送されていた。

 アリサを送ったのは翔太のためだと父親は言っていたが、翔太はそう素直に受け止めてはいなかった。
 確かに一人で居る翔太のためにという気持ちが全く無いわけではないだろう。
 しかし、アリサを翔太のところによこした一番の理由は、自分の実家で自分の息子が試用しているならデータを取りやすいからだ。
 気になることがあった時に、息子なら自分の思い通りに動かせる、とまで考えているかもしれない。
 翔太はそう思っていた。

 だからと言って翔太は、そのことを不満に思っているわけではなかった。
 父親の行動は、ロボット学者として当然のことだと思っている。ただ、良い父親だとは思えないけれど・・。



 アリサが、ドアをノックして翔太の部屋に入ってきた。
 アリサの顔は、まさに人間の女性のそれだ。きれいな、若い女性。

「お部屋の掃除をしますね。」

 声も綺麗でスムーズだ。立っている姿は、本物の人間と何ら変わりは無い。

 しかし、やはり彼女がロボットだということはすぐにわかる。歩く動作がぎこちなく不安定に見えるうえ、動くたびにモーター音が聞こえる。人間と変わらない体型、細い腕、細い足のバランスの悪い2足歩行型。
 他のロボットのほとんどがそうであるように、車輪やキャタピラ式の方が安定して早く動き回れるだろうに。

 父親は開発者というよりは職人気質なようで、おかしなところでこだわりを見せているのだと、翔太は思っていた。


つづく





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最終更新日  2005年03月09日 17時15分12秒
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