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2005年03月12日
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カテゴリ:連載小説

 翔太の父親は天才で、母親も優秀な学者だ。その血を受け継いだおかげか、翔太の成績は抜群に良い。
 そのため翔太は、中学校の授業は物足りないと感じていたし、他の生徒と同じレベルで勉強しなくてはいけないことにうんざりしていた。すでに内容を十分理解していて、特に新たな発見を見出すこともできないような授業。
 小学校から中学校までの間、翔太はそんな授業を受けることが苦痛だった。

 しかし、いくら授業が苦痛といっても、他の生徒だって感じていることだ。原因や程度の違いはあっても、ほとんどの生徒にとって授業は退屈でつまらないものだ。
 だから、翔太も苦痛な授業を我慢して受けつづけていた。


 そんな翔太が学校を休みがちになったのは、中学校に上がってからだった。
 中学校に入ると、テストの結果が重視されるようになり、自分の成績にクラスメイト全員が一喜一憂するようになった。
 そうなってから、クラスメイト達は翔太のことを意識するようになった。それ程努力しているようには見えない翔太が常に好成績を取ることから、翔太と自分達との違いを感じ始めたのだ。

 ただでさえ成績の良い人間は僻まれることがある。それに加えて、翔太の家庭状況も僻みの理由になった。さらに、クラスメイトを見下しているような雰囲気を、翔太が自分自身で気が付かないうちに発していたのかもしれない。
 あいつは、両親とも天才のサラブレッドだ。そのことを鼻にかけているいけ好かない奴だ。そんな風に見ている人間も多かった。

 そのため、翔太は自然とクラスメイト達から距離を置かれるようになった。小学校の時は仲良くしていた友達も、徐々に翔太から離れていった。
 そのうち、翔太はただ授業を受けるためだけに学校に来ているような形になり、どうせ受けても意味が無いような授業のために学校へ行くのが馬鹿馬鹿しくなったため、学校を休みがちになった。

 そして、普段はほとんど学校に来ない翔太がテストでトップの成績を取っているということが、クラスメイト達と翔太との距離をさらに広げることになった。
 そのようにして一度広がった距離は、なかなか縮めることが出来ない。学校に行かずクラスメイト達と接する機会が無いのだからなおさらである。

 そのようにして翔太は、テストの時以外は完全な不登校生となった。


 翔太が学校に行かなくなったことを、父親も母親も知っていた。
 二人が何を思って、どのような話し合いをしたのかは翔太にはわからなかったが、しばらくそっとしておこうという事で決まったらしい。どちらにしろ、今の二人には翔太に気を使う時間は無いのだ。

 学校に行かないことくらい、なんてことは無い。その気になれば現時点で翔太は飛び級で大学を受験するくらいの学力は備えているし、今の時期の不登校なんて将来に何ら影響を与えるものではない。翔太の社会への適応能力が欠落しているのなら話は別だが、そうとも思えない。
 ならば、今は様子を見ようということが翔太の両親が出した結論だったようだ。

 そう、学校に行かなくても困ることはない。翔太自身もそう考えていた。いや、そう思うことにしていたのかもしれない。


 アリサが言った、学校に行く目的。
 学校は勉強だけを学ぶ場では無いということはわかっている。しかし、そうわかってはいても学校に行く気にはなれなかった。


つづく





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最終更新日  2005年03月12日 19時06分30秒
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