039022 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2005年03月13日
XML
カテゴリ:連載小説

<4>
 
「あの、翔太さん。ちょっと良いですか。」
 ある日の夕食の時に、アリサはそう言って翔太の向かいのイスに座った。アリサはもちろん食事をする必要は無いため、翔太が食卓でご飯を食べている時には他の仕事をしたり、何も無い時は本を読んだりしている。
 こうやって食事中に話し掛けてくることは珍しいなと翔太は思った。

「どうした?」
「あの、実はちょっとお願いがあるんですけど。」
 アリサが翔太にお願いをすることなんて滅多に無い。しかも、こんなにあらたまって言いにくそうにしているアリサは初めてだ。
「何?」
「あの、この家って、私が来るまでは家事ロボットを使っていたんですよね。」
「うん、そうだけど。」
「それって、まだ家にありますか?」

 翔太は物置の中にロボットをしまっていることを思い出した。アリサが来てからは使っていなかったが、まだ問題なく動くはずだ。
 それを教えるとアリサは、うつむき加減にとても申し訳なさそうに言った。

「・・・あの、これからはそれ使ったらダメですかね?」

 アリサは、話し方や感情の表現も上手くなり、最近とても人間らしくなってきた。周囲の物体の把握や地面の凹凸を計算する能力など、行動時に必要となる思考回路も発達してきたため、動きも徐々にスムーズになってきている。

 そうして徐々に人間らしくなってきたアリサは、やっとサボることを覚えたようだ。

「ああ、いいんじゃない?俺は構わないよ。」
「やった。ありがとう御座います。私、掃除は苦手なんですよね。」
 そう言って喜ぶアリサを見ながら、翔太は自分が本物の人間と接しているのと何ら変わらない気持ちを持っていることに気が付いた。

 翔太は、自分が確実にアリサを家族として認識し始めていることを感じた。
 家事を変わりにやってくれるだけじゃなく、家族の一員として傍に居てくれる。それがアリサの本当の役割なのだということを、翔太はあらためて実感した。


つづく





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2005年03月13日 12時04分36秒
コメント(0) | コメントを書く


PR

プロフィール

かめ@ゴミスティピョン

かめ@ゴミスティピョン

フリーページ

コメント新着

 雪村ふう@ Re:書きたいことを書くのって、難しい。(03/13) 就職決まったんですね。 おめでとうござ…
 かめ@ゴミスティピョン@ Re:どうでもいいけど。(02/10) くみさん >アイスティーはコップじゃな…
 くみ@ どうでもいいけど。 アイスティーはコップじゃなくて、グラス…
 かめ@ゴミスティピョン@ Re:いい話じゃないですかー(02/15) ぼっつぇ流星号さん 読んでくれてありが…
 ぼっつぇ流星号@ いい話じゃないですかー こういうほのぼの幸せなのっていいと思い…

日記/記事の投稿

お気に入りブログ

眠れない夜のおつまみ Dionaeaさん

キーワードサーチ

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.