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2005年03月23日
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カテゴリ:連載小説

 そうやってうじうじとして、はっきりしない翔太に、アリサは苛立ってきているようだった。
 アリサがそんな風に苛立つなんて、それも初めてのことだった。

「翔太さんは、逃げているだけだと思います。自分から今の状況を変えようとせずに、楽な方に楽な方にって逃げているだけです。学校のことだけじゃないです。翔太さん、ほんとは家族が居なくて寂しいでしょ。だったら、両親に一緒に暮らして欲しいって言えばいいじゃないですか。何も言わなきゃ何も変わらないし、わかってもらうこともできません。」

 アリサはそう捲くし立てた。翔太は、それをただ聞いていた。全て、アリサの言う通りだ。

「行動しなきゃ、行動しなきゃいけません。できます。翔太さんなら、もっと行動できるはずです。」

 アリサからこれほど強く言われるとは、翔太は予想していなかった。アリサが言うことは、全て自分でもわかっていることだけに、翔太は言い返す言葉が思いつかなかった。
 アリサがここまで自分のことをちゃんと見ているのだということも、翔太は初めて知った。

「俺のことなんてほっといてくれよ。」
 翔太はそう言って立ち上がった。
 翔太は頭が混乱して、本当にフリーズしてしまいそうだった。もうこれ以上何も言われたくなかった。
「放っておけません!」
 アリサも立ち上がり、翔太の横顔に向かって言った。そして次に、アリサはとうとう言ってしまった。

「私、翔太さんのことが好きなんです。だから、放っておけません。」

 言ってしまった後で、アリサははっとして口をつぐんだ。翔太は知っていたけれども、アリサにとっては絶対に言ってはいけない恋心だった。
 翔太はアリサの顔を見ることはできず、アリサと逆の方向に首を向けて言った。
「そんなこと言われても、アリサはロボットだし・・・。」
 翔太は、背中を向けていて実際には見ていなくても、告白してしまったことを後悔するようにうつむくアリサの姿が目に浮かんだ。
「・・そうですよね。ごめんなさい。変なことを言って・・。」

 二人の間に沈黙が流れた。
 風が吹き、公園で遊んでいる子供達の声を覆い尽くすような木の葉がこすれる音があたりに満ちた

「帰ろうか。」
 翔太がそう言うと、アリサはうつむいたままで答えた。
「私、買い物してから帰ります。翔太さん先に帰っててください。」
「そうか。わかった。」
 そうして、翔太はアリサと別れて家に向かった。


つづく





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最終更新日  2005年03月23日 10時26分18秒
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