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2005年03月22日
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カテゴリ:連載小説
 アリサは翔太の目をしっかりと見て、強い口調で言った。

「私は人間じゃなくロボットです。生き物でもありません。でも、私は目的を持って行動しています。・・・今はまだ、いろいろ知らないことも多いですし、いろいろ自分のことで悩んでいます。でも、いろいろ行動して自分なりの『生きる』ってことを考えています。それが、私らしく生きているってことだと思います。」

 翔太は、アリサの言葉を黙って聞くことしかできなかった。アリサは話しつづけた。

「翔太さんは、今、自分らしく生きていると思いますか?人間らしく生きているって言えますか?家からほとんど出ずに、自分の殻に閉じこもりっきりじゃないですか。」
 アリサは一気にまくし立てるようにそう言ってから、また悲しそうな顔をした。

 アリサが、こんなに強く翔太を非難するようなことを言ったのは初めてだった。
 人間になりたいと思っているアリサは、人間である翔太が精一杯生きていないということに対して不満を持っていたのだ。
 そして、そんな翔太に恋をしているから、なおさら翔太に人間らしく精一杯生きて欲しいと思っているのだろう。

「翔太さんが不登校になったのは、クラスメイトから距離を置かれたからなんですよね。」
 アリサの剣幕に押されて言葉を発することができずにいた翔太は、アリサからそう聞かれ、かろうじて声を絞り出した。
「・・・ああ。そうだよ。」
 翔太は、学校に行っていた頃のことを思い出した。
 小学校の頃は楽しく遊んでいた友達が、中学校に入りテストの成績が重要視されるようになるにつれて、徐々に自分から離れていくことを感じた。クラスで自分だけが浮いていることに気がつき、その居心地の悪さから逃げるように、学校へ行く回数は減っていった。

「でも、本当は翔太さんだって、クラスメイトと仲良くしたいと思っていますよね。・・・だったら学校に行ったほうが良いです。学校に行くことを諦めないで、少しずつでも学校に行くための努力をしたほうが良いです。」
 公園で遊んでいる子供達は、どうやらかくれんぼをしているようだ。鬼の子のもういいかいの声が公園中に響いている。
 その光景に、翔太は自分が小学生だった頃の姿を見ていた。あの頃のように、みんなの輪の中に入って、みんなと仲良く遊ぶことができたなら・・。

「でも・・やっぱり今さら学校なんて・・・。」


つづく





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最終更新日  2005年03月22日 11時22分38秒
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