テーマ:本のある暮らし(3190)
カテゴリ:ミステリー
最初に「幻夏」を読んだ時、それを知って納得しました。 文章の描写が映像のように頭に入ってくるように「幻夏」を読み、 「天上の葦」は、今の日本の在り方を見ると恐ろしくなりました。 一人の老人が渋谷のスクランブル交差点で、空を指差しながら亡くなった。 その情景は、すぐに正午のニュースの冒頭に街のライブ映像として放映された。 彼は96歳、埼玉県秩父市の介護施設の入居者で、死因は心疾患による病死だった。 彼の名前は正光秀雄といい、かって世田谷区で町の産科医として52年働いていた。 興信所を開いている鑓水七雄の所に奇妙な依頼が舞い込んだ。 あのスクランブル交差点で亡くなった正光は、何故空を指差したか? その理由を2週間で調べ、わかったら1000万円支払うという。 借金を背負っていた鑓水は、この話に飛びついた。 鑓水七雄の生い立ち、その友人・刑事の相馬亮介、調査員の繁藤修司、 それぞれ癖のある人物だけど、妙に実在感があり、親しみを感じました。 日常的にウクライナとロシアの戦争をテレビで見るという不可解な今、 かって日本が戦争へと突き進んだ時代の過ちを正したいという願いが ひしひしと感じさせられたミステリーでした。 政府による言論統制の恐ろしさ、今起こっているウクライナ侵略の理不尽さ、 過去の戦争がどんなに惨たらしかったか?考えさせられた作品でした。 この小説は2017年出版されたものですが、その頃から急に世の中の空気が 変ってきたと感じた太田愛さんが、今書かねば…と思った作品だそうです。 割と本を読むのは早い方ですが~読み終わるのに時間がかかりました。 今、私達は「戦争」は反対、絶対「核」の使用は反対と強く言わねば、 自分の子供たち、孫たち、その先の人々のためにも声高く言わねば、 読んだ後に、そんな気持ちにさせられました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.05.28 03:57:19
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