ランチ酒
易しく軽いタッチの文章だから、どんどん読み進んでしまいます。でも、人生の悲哀も織り交ぜながら、ホッとする物語でした。主人公・大森祥子は、娘を夫に託し離婚した30代の女性。彼女は「見守り屋」という仕事で何とか暮していた。「見守り屋」とは、夜から朝まで人やペットなどを寝ないで見守る仕事。仕事が終わった時の唯一の贅沢は、夜勤明けに食べるランチとお酒。兎に角、食べ物と飲み物の描写が上手い。肉料理があまり好きでない私でも、食べてみたいと思ってしまう。「見守り屋」で触れ合うワケありの人たちとの交流も暖かなものがあり、祥子の孤独で不器用さが人の心をつかんでしまう。私もランチでビールは飲むけど、日本酒でも飲むの?と驚いたけれど、夜勤明けの疲れを吹き飛ばしたいという心理は何となくわかる。一緒に料理を愉しみ、飲むお酒を愉しみ、人っていいな~というほんわかした気持ちにさせらる「原田ひ香」さんの作品です。ランチ酒 今日もまんぷく [ 原田ひ香 ]