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カテゴリ:心理学 メンタル 悩み、読書
読レポ第1986号 カール・ロジャーズ ~カウセリングの原点~ 著:諸富祥彦 発行:㈱KADOKWA 第3章 ロジャーズの生涯(その7) ロジャーズが、シカゴ大学医学の全盛期の47歳〜49歳の人生の折り返しに「中年期危機」が起きた。 そのきっかけは、前のオハイオ州立大学でかかわっていた重症の女性クライアントがシカゴに引っ越ししてきたことに始まる。彼女はロジャーズのもとに来て、「もっと、もっと面接を増やして」と執拗に週に3回も要求し、自宅の玄関まで押しかけてきた。彼女が温かくて真実味のある関係を求めているのはわかるけれど、もう自分は、この人とかかわるのは正直うんざりだ。そんな気持ちのままロジャーズは、ある時は温かく、ある時は相手の深い混乱に対してひどく「職業的」になったりと、一貫性を欠いたかかわりを続けていた。クライアントは依存と愛情を伴った強い敵意をロジャーズに向けた。 「その女性はおそらく、統合失調症を発症する寸前の状態にありました。私はもってとそのことを理解しておくべきでした。私のやり方はちょっと行きすぎていたのです。彼女は頻繁に来談するようになりました。統合失調症の反応だと思われたことが2度ほどありました。自分がしていることの意味、彼女がしていることの意味、それを十分にわかっていなくて、よくないセラピィになってしまったのです。私は彼女にほんとうにうんざりしていました。なのに、自分にできることをやって必要に応じて面接をしていました。彼女は絶望した人がそうであるような反応を示して、私をずたずたに引き裂きました。統合失調症様で、ものすごく敏感な人でした。私という人間のボタンの押し方を完全に知っていました。私は自分が壊れていき、精神病様になっていっていったのがわかりました。おそらく、もうなっていたのでしょう」((Rogers & Russell,2002) ロジャーズは次第に最悪の状態に追い込まれていく。女性クライアントは「ロジャーズという人間のボタンの押し方」を完全に知っていて、一番傷つくところを責め立ててきた。 それは、私の防衛を完全に突き破りました。彼女はとの接触が治療的意味を失い、自分にとってただ苦痛なものになったあとでも、私は、セラピストとして当然彼女を援助できるはずだし、またそうすべきだと信じていました。彼女の洞察は私のそれよりも健全であることを認めましたが、そのために私は自信を失い、関係の中で自己を放棄してしまったのです。 その後、ロジャーズは、家に戻り2~3ケ月「逃亡旅行」へ出たのです。逃亡旅行を終えてもロジャーズは、私はまだセラピストとしてかなり不十分な状態にあり、人間として値打ちがないし、心理学者として、あるいはサイコセラピストとしても、もうやっていけないと感じていました。 だが、ロジャーズは、自分が育ってた、オリー・ボーンの彼のセラピィを受けて少しずつ立ち直ることができた。 ロジャーズは、、この変化を通じて、人に愛を与えることばかりでなく、人から愛をもらうことも、以前より恐れなくなった。自分の弱さを自分のものと認め、受け入れることができるようになっていったのである。 と著者は述べています(私の捉え方の要約と割愛)。 彼女をカウンセリングしていくうちに、ロジャーズ自身が自分が壊れていき、精神病になっていったのがわかりました。 人は、未熟者で完全な人間などいないのです。完全主義は手放すことです。とくに、日本人は、真面目すぎるので完全主義になりやすいです。相手にもついつい完全主義を要求してしまいがちですから。完全主義は手放すことです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.02.15 16:13:40
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