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カテゴリ:心理学 メンタル 悩み、読書
読レポ第2044 カール・ロジャーズ ~カウセリングの原点~ 著:諸富祥彦 第6章 1955年ロジャーズとジャンドリン 二人の出合い(5/5) 私たちが真剣にもの考える時、ただの概念を超えて、自分の内側の「暗黙の何か」に触れている。「うーん、ここは、どう考えればいいか……」。内側の、暗黙の、体験の流れ、experiencing(エクスピング: 経験する)に直接触れている。そうしてしれを言葉にすることができれば、体験のほうが変化していく。私たちが何かを創作しようとしている時、ただの概念を超えた、内側の、なまの体験の中の流れexperiencing(エクスピング: 経験する)に直接触れる。それは何かの形にすることができれば、表現されようとしていた体験自体が変化する。このような、内側の、なまも体験の流れということがexperiencing(エクスピング: 経験する)に直接触れる、ということが、セラピィでも決定的に重要な役割を果たしているのではないか。ジャンドリンはそのことをクライアント体験する中で明確に意識するようになった。 しかし、実習生のジャントリンがクライアント体験をする中で理解したこのセラピィの核心は、当時の文献では記されていなかった。1950年代初頭のクライアント中心療法では、セラピストは、クライアントの怒りや悲しみといった「感情」「気持ち」に応答していると考えられていた。けれど実際に重要な役割を果たしていたのは、クライアントが「感情」「気持ち」を語りセラピストがそこに応答することではない。そうではなく、実際にクライアントが暗黙の、微細で複雑な何かに触れながら語ることであり、セラピストと共にそこから何かが生まれてくるのを待つことである。「正確に聴いてもらていると、もっと深い何かが、暗黙の複雑な何か(インプリシット・イントルカシー(the implict intricacy)から生まれてくるのである」(Gendlin,2002) その原因の一つは、experiencing(エクスピング: 経験する)に相当する概念が存在しなかったことにある。ジャンドリンは言う。 ふさわしい用語にめぐまれなかったがために、現在の体験(experience)こそ大切なのだ、というロジャーズの見解は、あちらこちらで誤解されてきた。クライアントは過去の体験に取り込む必要などないのだ、という意味にとらえられてきたのである。ロジャーズの考えをそのように受け取ると、ロジャーズの言う現在とは、概念的な内容のころを示すのだということになってしまう。ロジャーズは誤解され、クライアントは現在の生活の内容にだけ取り組めばいいのであって、幼い頃の体験に取り組む必要などない、といたかったかのように受け取られてしまっている。だが、ロジャーズがいいたかったのは、取り組む概念的な内容が過去のものであろうと、現在のものであろうと、クライアントは現在のexperiencing(エクスピング: 経験する)を通してだけ、うまい具合に問題に取り組むことができる、ということなのである。(Gendlin,1962)(田中 2018の訳を参照) しかしこのことが認識されていなかった。ここからexperiencing(エクスピング: 経験する)概念の研究が始まり、ロジャーズ理論もそれに刺激されて変化していく。 正直言って、私には習得はできていないかもしれない。experiencing(エクスピング: 経験する)の量稽古がつねに、そのような姿勢が必要だと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.04.15 18:40:33
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