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カテゴリ:不動産投資
「成算あり」 城山三郎
以前、不動産投資アドバイザーの広瀬さんや、 原田ミカオさんが紹介していた経済小説です。 最近あまり小説は読んでいなかったのですが、久々のヒットでした。 とにかく面白い。一気に読みました。 やっぱり興味・関心のある分野だからでしょうか。 昭和42年頃の不動産業界を調査取材した内容をもとに、 昭和51年に発行されたものですが、とても勉強になります。 小説というより、ビジネス書や哲学書に近いものがあります。 内容は、 『夜学に通う商社勤務の老田は自宅前にたったマンションへの苦情から、 不動産会社の社長桐山を知ることになる。 その不思議な魅力にひかれた老田は、 「力」を身につけたいと不動産業に入っていく。 昭和40年代初頭の不動産業界を通して、男たちの野望と戦いを描く。』 と紹介されています。 不動産取引にまつわるハウツーもありますが、 それよりも商売哲学のようなものに興味を持ちました。 桐山の不動産会社の額の文字 <奇道は正道に叶わぬ> 老田が桐山の不動産会社に入るときの助言 「わたしが忠告できるのはひとつだけ、 客に情をかけるなということです。 それが鉄則です。」 自宅を売却した資金で貸机屋を始めた老田と買い叩いた桐山の会話 「それにしても、土地代金をそういう風に活用されたのは、いいことです」 「よい投資と言えますか」 「さあ、よい投資になるかどうかは、これからの運用しだいでしょ」 「・・・・・」 「ただ、わたしがいいという意味は、あなたがその金で 自分の住む家を買おうなどとしなかったことです」 「・・・・・」 「失礼ですが、あの三百二十万は、おたくの全財産と言って よいものでしたね。税金問題は別にして、それをまた 不動産に代えたなどということでは、どうかと思うのです。 そこに住んでしまえば、もう何も生まない。 家だけあって何もないというのでは、淋しいどころか、 大いに困ることです。何かことがあったら、どうします。 それで万事終りということになるでしょう」 不動産屋らしくない言葉なのだが、桐山はなおその調子を続けた。 「わたしは、不動産は全財産の十分の一にとどめておけという方針です」 「しかし昔から三分法と言われるように、少なくとも三分の一ぐらいは・・・」 「あれは、昔のことです」 桐山は、きっぱり言い切った。 「それでは、不動産屋の仕事にならないじゃありませんか」 老田が首をかしげて言うと、桐山は笑った。 「不動産屋と言っても、他の事業と同じです。 要は信用を得ることです」 「・・・・・」 「わたしがお客さまのためを思って言っていることがわかれば、 お客はわたしを信用してくれます。安心して、また次の仕事を 持って来て下さるのです。有難いことですよ」 最後は斎藤一人さんと全く同じ言葉です。 この台詞を読んだとき、ビックリしました。 売らんかなとすればするほど売れなくなる。 いつの時代も、どの事業でもいっしょということですね。 あと印象に残ったのは、 『金銭万能の資本主義のこの世でも、健康だけは、 やはり高価な資本といえる。 あらゆる機会をとらえて体を鍛えておくことは、資本の蓄積に通ずる。』 というところですね。 体調を崩した時はいつも思い出すのに、 常日頃はなかなか意識できないものです。 このような素晴らしい書籍を教えて頂いた方々に感謝。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005/04/06 06:04:42 PM
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