アストリッドとラファエル4 最終回 失われた記憶
ラファエルが記憶を失い、殺人事件の容疑者となるストーリーのお膳立てそのものはミステリドラマとしては珍しくもない。だけど、日本ならば前後編に分けたであろう内容を、一時間枠に収めて密度濃く緊迫感を持って描いた。目まぐるしく変わる事件の様相を駆け足で通り抜けたので、ちょっと息切れしたしもしたけど、心地良い疲労感。事件の意外な結末以上に、アウトリッドとラファエルそれぞれの恋が意外な展開を見せる。見せておいて、幕を下ろす。事件は解決しても恋愛問題に解決はない。あとは次回のお楽しみ。解けない難題を諸々突きつけたまま、次シーズンへ視聴者の関心を引っ張る遣り口。心憎いわ。こうして終わり方がハッピーエンドでないところに、日本のドラマには決して無いアイロニーとシニスムを感じる。それともこれがフランスのエスプリなのか(だから好き♡)次週からはクリスティーの「なぜエヴァンズに頼まなかったのか」が放映される。これは原作未読なので、ネタバレ無しで本書を読むのはしばしおあずけ。ドラマを視てのお楽しみとしよう。