「エミリイ・アランデルは5月1日に死んだ」で始まるクリスティーの小説を読んでいる。
1936年の今日、紙とインクのアナログな世界で、アナクロなヴィクトリア朝気質の老婦人の死。
1954年の12月10日が「虚無への供物」のストーリーの始まりであることをその人々が憶えているように、クリスティー・ファンも5月1日という日を憶えているのだろうか。
アガサがその人々ならぬ、愛犬ピーターに捧げたミステリー。エミリイの愛犬ワイヤーヘアードテリアのボブが第二の主人公だ。たぶん、「犬は見ていた!」な、展開になることを期待。動物好きには萌え要素一杯な一篇。
中井英夫もテリアを飼っていて
「テリア種は、エアデールの金茶と黒の巻毛に包まれて始めて味わい深いというのが、私の意見である。」
と、一家言を述べている。
ローラという名前のその愛犬と一緒に写っている写真を、先日の中井英夫展で生で見た。
ヴァン・ダインの「ケンネル殺人事件」を引き合いの出して、「スコッチテリアはあれは黒い角毛虫といったふぜいで馴染み難い」と難じている。
犬種差別はダメよ、だけど「ケンネル殺人事件」は印象に残ってない。
読んだのが中学生の時だったせいか、犯人も憶えてない。
黒い角毛虫みっけ~ Uo・ェ・oU でも在庫切れで、絶滅危惧種な模様。