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テーマ:ミステリはお好き?(1430)
カテゴリ:Mystery
神戸異人館の一角にある館、インド倶楽部で行われたイベント。
そこには輪廻転生、前世の存在の信じる人々が集い、伝説の「アガスティアの葉」によるリーディングが行われていた。アガスティアの葉には人間の運命が記されており、読み取ればその人の前世から今生で死ぬ日に至るまですべてが判るという。 その後、イベントコーディネーターが殺害され、次いで参加者の一人が殺害されるという事件が 起きる。殺害日はリーディングで予告された日であった。 臨床犯罪学者火村英生と作家有栖川有栖のコンビが、不可解な事件の真相と、それに絡むインド倶楽部の謎を解き明かす。 ---------- 探偵小説中に予言だの、リーディングだの、似非神秘主義やスピリチュアルもどきの話が登場したら、それはミスリードの手段であろう。ゆえにロジカルな推理の要素としては却下する、という定石は今回通用しなかった。作中でもリーディングはガセネタであったことはフェアに読者に明かされるのであるが、この胡散臭い、あからさまにインチキだと読者に解らせている話にこそフーダニットを解く鍵が隠されている。 事実ではないリーディングの内容についての思考を放棄し、現実の利害関係や怨恨から犯人や犯行動機を 推理しようとする読み手が真相に気付くことは非常に難しいと思う。 さらにもう一つの偶発的な人物〇〇トリックを絡めたプロットが犯人を二重に隠すことにもなった。 リーディングを経験したインド倶楽部の会員全員が怪しいと言えば怪しいのであるが、一周回って怪しいやつがやっぱり犯人という、裏の裏をかく手口も此処では通用しないのである。 犯人特定に用いたのは「想像と消去法」と火村自ら語るようにロジカルな推論は本作では余りみられなかった。 私にも、このような犯行動機は想像に余る。 何だか論理的思考能力の不足より、想像力の貧困に付け入られたような不全感が残る読後感だった。 インド紅茶ではなくコーヒーが読書のお供♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.09.01 21:17:11
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