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テーマ:ミステリはお好き?(1430)
カテゴリ:Mystery
スコットランド北東部に浮かぶシェトランド諸島、その最北端アンスト島には、〈小さなリジー〉と呼ばれる幽霊譚が伝わっていた。
1930年、浜辺で遊んでいて溺死した、10歳の少女エリザベス・ゲルダードの幽霊が、島にはときおり現れる。少女エリザベスの幽霊に出会った女性はやがて懐妊する....という。 アンスト島出身のキャロライン・ローソンは、婚約者ロウリー・マルコムソンとの結婚式を、故郷で行うべく帰省する。 キャロラインとは大学時代からの親友であるエレノア・ロングスタッフとその夫イアン、同じくポリー・ギルモアと恋人のマーカス・ウェントワースも彼女を祝って、島を訪れた。 結婚式が終わって、海岸を散策していたポリーは砂浜で踊る白いドレスの少女を目撃したような気がしたが、その姿は幻のように消えた。 少し前に流産を経験した傷心のエレノアも同じような少女の姿を見たと証言した。気のせいではなく、幽霊はここ、アンスト島にいる? その後、エレノアは、私を捜さないでというメッセージを携帯に送って失踪したうえ、遺体となって発見される。 しかし、エレノアのスマホが見つかったのは、遺体発見現場から離れた場所であった。 シェトランド署のジミー・ペレス警部は部下とともに調査に着手するが、続いてホテルの共同経営者の一人、元奇術師のヒリアーが殺害される事件が起きる。 二人の死は少女幽霊伝説と如何なる関わりがあるのだろうか。 --------- 被害者を巡る関係者それぞれの事情と、その相関関係の描写に相当の筆が割かれているが、冗長さはなく、必要な伏線なためか、冗長さはなく、読むことに煩わしさは感じなかった。 とくにゲイカップルの片割れ、パートナーのヒリアーを亡くした失意のゴードンの人間像には中々胸に迫るものがあった。 もっとも、これだけエレノアに近い人間の描写に力を入れるということは、読み手にその中に犯人がいると教えているようなものではあるが。 リジー伝説を検証していく刑事たちの行動は捜査のというより、民俗学や伝承学のフィールドワークめいていて、興味深い展開だった。 ただし、肝心の探偵役ペレス警部の魅力が私には余り伝わってこない。彼がスペイン人という設定も生かされていると言い難いのではないだろうか。 おまけにウィローという女性刑事が此方の苦手なタイプであったため、彼女の出番のシーンで感興を削がれることはなはだしく、ラストのハッピーエンドまでが白々しい。 またしても、此方の好みの問題で半減したがこればかりは仕方がない。 でも、他のペレスシリーズでストーリーが面白そうな何作かは読んでみたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.10.09 20:42:54
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