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テーマ:ミステリはお好き?(1432)
カテゴリ:Mystery
ミステリー好きな高校生田所は、天才的な推理能力の持ち主である友人葛城とともに、ミステリー作家財田雄山に会うため合宿所を抜け出した。
その途中、折悪しく山火事に会い、目指す雄山の隠棲場所である邸に避難することになる。 そこは「落日館」と呼ばれる奇妙なからくり屋敷であった。 彼らの他にも山道で出会った不審な女小出と、近隣住人の久我島、保険会社調査員の飛鳥井も落日館に避難してくる。奇遇にも田所はかつて少女探偵であった飛鳥井を知っていた。 飛鳥井は「爪」と呼ばれるシリアルキラーに親友を殺された過去のトラウマから探偵を廃業したのではあるが。 残念ながら、いまや寝たきりの身となった雄山との面会はかなわなかったが、田所は雄山の孫にあたるつばさと親しくなる。 だが彼女は無残にも仕掛け部屋の天井に押しつぶされて亡くなってしまう。これは事故なのか事件なのか? 警察に通報しようにも電話線は断たれ、携帯もつながらず、紅蓮の炎に囲まれた落日館の七人。 この中に殺人犯がいるのか。飛鳥井は田所とともに、つばさの死の謎を解き明かしてくれるのだろうか。 しかし山火事の火の手は迫り、脱出のために残された時間はあとわずか......... 2020年本格ミステリ・ベストテン 第3位 -------------------- お館ものに密室トリックと人物〇〇トリックが重層的に仕掛けられたプロット、クローズド・サークルという限られた空間のみならず、からくり屋敷が燃え尽きて陥落する前の限られた時間での犯人探し。二人の探偵の推理の競い合いに隠された後期クイーン問題。 と、本格ミステリーの魅力的な要素が盛り込み過ぎるほど溢れているのだが、意外に読後感は物足りなく味気なかった。 犯人の意外性はそこそこで、からくり屋敷の物理トリックに気取られていると、登場人物の人間関係に仕掛けられたあるトリックを見過ごしがち。 此処らへんのミスディレクションは非常に上手いと思うのだが、人物の描き方に魅力がなく、二人もいる天才的な探偵とやらが、何ともステロタイプで面白味を欠く。 もとい、飛鳥井の登場の仕方からしてご都合主義な唐突さを感じた。 せっかくの紅蓮の炎に襲われるからくり屋敷の描写も、迫力不足で緊迫感が希薄。 意余って言葉足らずというか、手に余るほどの美味しい食材を抱えて捌ききれず五つ星の料理が作れず終わったというか。 だから☆をつけるとしたら4つに足りない、というのが、いつもどおり個人の主観と嗜好によるチラ裏である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.10.01 22:09:34
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