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テーマ:ミステリはお好き?(1432)
カテゴリ:Mystery
僕、網走一人は児童養護施設「よいこの島」に一ヶ月前入所した13歳。 施設で親しくなった五味朝美をいじめて自殺に追い込んだ連中を殺してやる。 そう思って、今夜いじめっ子の筆頭の豪竜寺翔の部屋に忍び込んだら、誰かが先回りしてやつを殺していた。 胸を包丁でさされたうえ、抉られた左目には金柑の実が埋め込まれていた。 こんな猟奇的な犯罪を行う者がこの孤島の施設の中に潜んでいるのか.... 名探偵気取りの探沢ジャーロが、内部の者の犯行とにらんで、施設の生徒たちを聴取し始めたので推理につきあわされたが、それどころじゃない。 僕は他にも殺さなければならない連中がいる。 次は猟奇的殺人鬼に先を越されたりすることがないように。 いやそれより、僕がそいつに殺されないようにしないと。 --------------------- 「僕」視点の語りと、殺人鬼Xの過去が交互に語られる。 僕という一人称視点で語られているので、叙述に気を付けていると殺人を行った者は誰かは気づきやすい。 ただし推理の要である、殺人者が二人いて誰が殺人鬼なのか殺人犯なのかの判別が特定しかった。 シンプルなロジックに見せかけておいて、ここらへんのミスディレクションはとてもうまい。 一人は容易に推測できたが、もう一人の殺人者はある程度想定外の人物だった。 そして動機こそ意外性があるどころか、ぶっとんだ発想。 これは当てられない。 と、思いきや、ちゃんと解明(解読)の手がかりは本文に描かれている。 これまた心憎い手際の良さだ。 ラノベ風の設定や文体が成功していて、さくさく読めると同時に、これも読者の注意をそれすのに一役以上買っていると思われる。 上手い書き手だと感心したので他作も読んでみたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.10.11 19:20:47
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