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テーマ:ミステリはお好き?(1469)
カテゴリ:Mystery
女子大生ゾーイ・ノーランが失踪した事件を追う作家、イヴリン・ミッチェルのノンフィクション第2版が出版された。
編集者はイヴリンの知人の作家、ジョゼフ・ノックス。 本編にはゾーイの両親、双子の姉キンバリー、ゾーイの恋人その他の人々へのインタビューによる証言、SNSやメールのやり取りの情報、果ては事件関係者と思われる人物の写真までが公開されていた。 登場する面々の誰が真実を語っているのか、あるいは虚偽を騙っているのか。 何よりもゾーイは生きているのか。 ならば彼女は何処にどうしているのか。 その失踪の理由は.......... 網羅された情報から、事件の真相を、読者は如何にして読み取ればいいのだろう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ネタバレあり ってか、御親切にも帯が作品の解題になっている造本で、ここで思い切りネタバレている。 帯を見るまでもなく、この手の作風は、記述者(口述者?)から、全ての資料(情報)を信じてはならないのが今やお約束。 と、心して読んだがさっぱりですわ。 記述がウソだらけのとの疑念をもって読んだところで、真相がみえてくるはずもなく、それこそ作者の騙しのテクニックなのだから、うかうかと乗せられてはダメでしょう。 700ページ近い重厚長大かつ重層的な内容を、ラノベ風とも取れる文体で読ませてるのも曲者。 読みやすさにつられて流し読みして、伏線を見落としたりしがち。 かと思えば、余りの長さに読んでいて飽きてくるころに、事態が予想外の方向へ転んで興味が繋がるように仕掛けられているのは巧みだ。 転んだ先には、さらさらに意外な真相がまちうけているのだが。 真相への考察に関しては 双子の設定とくれば、〇〇入れ替えが常套手段という推測はほぼ当たった。 これまたもう一人のノックスの十戒なんて無視する、今どきのミステリあるある。 それにしても、容疑者死亡でさらにリドルストーリーへ導かれて、幕を閉じる結構とは。 事件は結局藪の中、真相不明のまま、苦労して読んだ挙句カタルシスのない不全感が残った。 読み手としては作者の大掛かりな欺瞞のテクニックに翻弄されて終わった。 作者が描きたかったのは、意外な犯人や動機やトリックではなく、物語の構造の意外性なのではないかというのが極私的な感想だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.02.29 13:21:41
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