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テーマ:ミステリはお好き?(1469)
カテゴリ:Mystery
札幌市の自動車修理工場で5年、未解決誘拐事件の被害者の少女の遺体が発見された。
身代金目的の容疑者は死亡し、迷宮入りとなったこの事件に、共犯者あるいは真犯人がいるのか。 ならば、犯人は何故少女を5年間生かしておいたあげく、今になって手をかけたのか 博士号を取得しながら学究の道を断念し、北海道警察になった沢村依理子は本件を捜査するうちに 自身が捜査情報を漏洩したとのあらぬ疑いをかけられてしまう。 退職を迫られながらも、追求の手を緩めことなく真相に辿り着いた沢村の決断は......... -------------------- 「老虎残夢」と同時受賞の乱歩賞受賞作。 作者の初めての作品とあってか物語の流れ(時制の描法)や文体に、序盤で読みにくさを感じた。 が、提示された事件の謎は魅力的であり、登場人物はそれぞれキャラが立ってよく描き分けられているためか、興味を繋いで終章まで読み進めることが出来た。 ただしその終盤が盛り上がるどころか、多彩な人物を配置しすぎ、多様な問題性を一作の中に盛り込みすぎて、全てを収束させるのは無理だったのか失速したのにはがっかり。 せっかくの謎が謎を呼ぶ意外な事件には、意外な謎解きからの意外な解決があって然るべきではないのか。 問題意識を盛りすぎ(女性差別や家庭問題)、エピソードの詰め込みすぎ(本件と関わりのない複数の事件への言及)で、ミステリの最重要課題が焦点ボケしたは惜しいし、誘拐事件と被害者の〇〇入れ替えトリックの組み合わせは余りにもありきたりに過ぎ、(ミステリ好きなら大抵は予想がつく) 犯人の動機や犯人像の設定も凡手で感心できない。 主題の発想とプロットの構築への着想の良いのだから、もっと内容を整理し削ぎ落とせばより面白いミステリを創作する能力のある作者だと思う。 次作に期待し、沢村のキャラは好感が持てるので、シリーズ2作目を時間がゆるせば読んでみたい。 ![]() 雛祭りなので桜餅でもと思ったけど、美味しそうなのがみつからなかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.03.03 22:38:38
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