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2017年11月29日
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カテゴリ:独り言
屋上、というものに漠然とした憧れがあった。

よくメディアの舞台になるからかなと思ったが、振り返るとそんな意識の芽生えぬ保育園頃から、なにか羨望の眼差しを向けていた気がする。

小学校に入って、学年があがって、いよいよ屋上が近づいた頃、鍵がかかって入れないことを知った。


私の出た小学校は男子が9人。

休み時間は全員でキックベースで、一人でも欠ければ「あいつはどうした?」となる。

何かの事情で、一度行かない日があった。

そこから何が私を吹っ切れさせたのだろうか。

とたんに毎日急いで給食を食べ、走って外へ向かうのが阿呆のように思えた。

私は毎日昼休みに校内を彷徨しはじめる。

ガキ大将に絡まれ出した頃、屋上なら誰にも会わないだろうと考えた。


いくら私がはみ出しものでも、屋上の鍵を盗んでこようとか、針金で開けようとか、そんなことは考えない。

ただ屋上に繋がるドアの前に座った。

2,3段しかない階段に足を放り出して、ドアに寄りかかって。

絶対に誰にも邪魔されない空間という、それだけに喜びを得ていたと思う。

実際、誰かに見つかったことは卒業までに一度たりともなかった。

ある時は眠って、ある時は図書館の本を読んで、ある時は窓から山を眺めて。

たくさんの一人の時間を、いつからか楽しんでいた。


7,8年前に廃校になった後、一度だけ校舎に潜入したことがある。

教室も職員室も図書室も保健室も見たけれど、やっぱり最後に屋上に向かった。

一貫して私は、あの場所を素敵な思い出にできているらしい。


研修先の施設に、屋上があった。

屋上と言えるほどかわからないけれども、とにかく空間としては似ていた。

喜んで、そこでお昼を食べて、本を読んで過ごした。

途中でお弁当箱を持った人がきて、私と目が合って引き返していった。

私以外にも価値を認める人に遭遇できて、私は嬉しかったと思う。

同時に、小さく「ごめんなさい」と思った。





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最終更新日  2017年11月29日 23時53分40秒
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