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テーマ:本のある暮らし(3292)
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『君死にたもうことなかれ』与謝野晶子の詩には、
「旅順口包囲軍の中に在る弟を歎きて」という副題がついている。 きょう、この詩を、あらためて読み直してみた。 * * * * * ああ おとうとよ 君を泣く 君死にたもうことなかれ 末に生まれし君なれば 親のなさけはまさりしも 親は刃(やいば)をにぎらせて 人を殺せとおしえしや 人を殺して死ねよとて 二十四までをそだてしや 堺(さかい)の街のあきびとの 旧家をほこるあるじにて 親の名を継ぐ君なれば 君死にたもうことなかれ 旅順(りょじゅん)の城はほろぶとも ほろびずとても 何事ぞ 君は知らじな あきびとの 家のおきてに無かりけり 君死にたもうことなかれ すめらみことは 戦いに おおみずからは出でまさね かたみに人の血を流し 獣(けもの)の道に死ねよとは 死ぬるを人のほまれとは 大みこころの深ければ もとよりいかで思(おぼ)されん ああ おとうとよ 戦いに 君死にたもうことなかれ すぎにし秋を父ぎみに おくれたまえる母ぎみは なげきの中に いたましく わが子を召され 家を守(も)り 安しと聞ける大御代(おおみよ)も 母のしら髪(が)はまさりぬる 暖簾(のれん)のかげに伏して泣く あえかにわかき新妻(にいづま)を 君わするるや 思えるや 十月(とつき)も添(そ)わでわかれたる 少女(おとめ)ごころを思いみよ この世ひとりの君ならで ああ また誰をたのむべき 君死にたもうことなかれ * * * * * きょう、一日に起きたニュースは、 高見順の小説の題名になぞれば、とても『いやな感じ』のものだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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