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遠いところへ、遠いところへ心を澄まして耳を澄まして、静かに、叙情をたたえてしなやかに―。清新な文体で、時空間を漂うように語りかける不思議な味。ニュー・ノヴェルの誕生。中央公論新人賞・芥川賞受賞作『スティル・ライフ』、受賞第一作『ヤー・チャイカ』を収録。
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スティル・ライフ
池澤さん、大好きな作家です。
理系作家、とよく言われているようですがその表現がまさに
ぴったりなちゃんと物語の筋道を通してくれるところが
ワタシ的にはしっくりきます。
たとえ”解なし”だとしてもそこに行き着くまでの過程を
ちゃんと納得させてくれるような。
この作品は彼の初期の作品のようですがこの前に読んだ
”梯子の森と滑空する兄”
に通じる文章が文頭にあってなんだか納得。
以下抜粋。
この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。
世界はきみを入れる容器ではない。
世界ときみは、二本の木が並んでたつように、どちらも寄りかかることなく、それぞれまっずぐに立っている。
きみは自分のそばに世界という立派な木があることを知っている。それを喜んでいる。世界のほうはあまりきみのことを考えていないかもしれない。
(中略)
大事なのは、山脈や、人や、染色工場や、セミ時雨などからなる外の世界と、きみの中にある広い世界との間に連絡をつけること、一歩の距離をおいて並び立つ二つの世界の呼応と調和をはかることだ。
たとえば、星を見るとかして。
こんな詩的な文章なのに極めて理論的なのだ。
自己と他者、この二つの世界をこれ以上無駄なく
説明できる文章が他にあるとは思えないくらい。
この小説はバブルイケイケ頃に書かれたものですが
なんと草食系男子の原型がこの本に!
時代を先取りしてたんですね!ソレハドウカ・・。
「ヤー・チャイカ」はそれほどではなかったけれど
「スティル・ライフ」は逸品です。