紹介文
恋するということは、なかば意識を持ちながら、甘美なまでにゆっくりと溺れてゆくこと…ゆらめく光のような日常を繊細な言葉の音楽が奏でる短篇小説集。
手当たり次第に読んでいるブログタイトル通りの乱読をしてますと、読むのに非常に忍耐力のいる文章ってのに時々あたります。
ここのところ読書から遠ざかっていたためそんな文章にも縁がなかったんですが、この本はまさにそう。
過去に何回か読むことにトライしてるんです。
短編集だし、読みにくくても読めるんじゃないかと思って。
それがまた想像を絶する読みにくさ。
何が悪いって、別に難解なことが書いてあるわけじゃないんだけど登場人物の思考がただ、ダダ漏れな文章の上舞台はコ汚いアパート。
そこで特に何が起こるということはなく、ただただ、登場人物の思考がつらつらと続くのを読むのはもう、修行レヴェルでしたわよ、奥さん。
あと、妻が入院中に妻と新婚旅行で行ったレストランでの愛人との別れ話になぜか幼い息子を連れていきその息子の話で全てが妻にばれる、とか、飼っていた豚がある日いなくなって食卓にハムが並んだとかっていう話がその登場人物たちによってだらだら語られる短編8篇。
それでもまだ、『静かな日々』のように語り手が男性の場合まだ意味もストーリーも大してなくても何を語られているのかがわかるのでいいのだけれど、ヒステリックな女の『鎮痛剤』なんかもう狂気の世界だし、とにかく何が言いたいというポイントレスの主婦のマシンガントーク『向こう側』なんかもう、こんな人とは5分と話していられないって思うようなイライラMAX。
大体、ワタシは無駄におしゃべりな人が苦手なのよ。
だから電話も嫌い。
会話の成り立たないような、とにかく自分の夫や子供や姑の話をまくしたてるんだけど、それでいったいどうしたいとか意思はなく、ただダラダラ続くおしゃべりは苦痛以外の何物でもなし。
人と話すってことはその人のその時間をいただくってことでしょ?
もっと人の時間に敬意をはらうべきだわねって思うけど、そんなこときっと想像もつかないからどうでもよろしいことを一日喋りまくるんだろうしそういう人同士だとうまくいくのかもしれないけど、ワタシはそういう人と遭遇したらできるだけ関わらないように自衛してます。
この作家はどの作品もこんな感じなのかしら?
一冊でもう、おなかいっぱいです。